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座談会

2019年3月7日

現代女性に”起業”という新しい生き方を提案する – 世界へ羽ばたけ、女性起業家たち

AsiaX:起業に至った経緯について教えてください。

 

河野:日本の巨大メーカーで工場を潰すリストラクチャリングなど物事をターミネートする仕事を、世の中良くしようという気持ちでやってましたが、このまま潰れゆく仕事(への従事)を続けていいのか、と20代の最後で悩みまして。もっとグローバルにと思って転職したら、社会を良くすることよりも業績に必死な全然違うマインドの仕事。また転職?じゃないなと思って始めたのが今の会社です。海外につながる仕事、かつ、日本の良さを使って雇用を広げたいとこの2つを絶対目標として掲げてやってます。むしろそれ以外の仕事をやる必要がない。サラリーマン時代の様々な体験が今の原動力につながっています。バブルもはじけたし、震災もあったし、大変な局面を経たからこその気づき、それを仕掛けていきたいと思っています。

 

バルドゥッチ:日本製の化粧品は海外でとても評価が高いにもかかわらず、デリケートゾーンのケアは遅れている。このケアは女性の健康と幸せ、つまり、ウーマンズウェルネスにつながっていて、欧米では30年も前に始まった社会に浸透した概念。是非、日本に紹介して根付かせたいと思い、始めました。私の娘が大きくなったときに優秀な女性が日本にいたいと思えるような日本作りを、そのためには私たちが今、新しい産業を生み出していく。これは日本の将来にとって大事なことだと考えています。

 

関谷:デザインが好き、モノを作るのが好き、人が好き、そのつながりが好き、誰かに必要とされている。この仕事がなくなったら困る人がいる。仕事も求められているし、私という存在も求められている。これが起業した理由の全てです。「かぎ針1本でフィリピンの女性たちの未来を切り拓く!」をモットーにやっています。

 

(一同)おお!素晴らしい・・・。

 

山村:世界に出す日本の良さという意味で河野さんと結構似ているなあ思って聞いていました。人と人との温かい関わりが減って、ぎすぎすした人間関係、自分さえよければいい、自分のことだけで手一杯みたいな風潮。戦争とかテロとか世界には不穏な空気が漂っていて、ちょうどその頃自分自身が心を壊しかけたのも重なりました。世界平和への思いと「調和」―昔からの日本の古き良き精神性、これを広げたい。日本には今、40兆円分、8億点の着物がたんすに眠っていると言われていて、生活様式の変化から祖母様やお母様から譲り受けたものの使えずに持て余していたり、泣く泣く捨てざるを得なくなってしまっています。日本の伝統の象徴である着物を守ると同時に新たなスポットライトを当てられたら、と思いました。職人さんが精魂込めて作っているので(傘の)値段は安くはありません。購入という選択肢以外にもウエディングやイベントなどのレンタルでの利用という方法もご提案しながら、試行錯誤しながらやっています。

 

吉田:国際協力で、自分とかけ離れた環境に生きている人たちを知りました。日本だったらアルバイトすれば収入もできるし、食べ物も何かしらありつける。(南米で)それすらないという環境を目の当たりにして、日本ではどう失敗しても死にはしないし、生きていく手段がある。やりたいことがあるならやってみようと思いました。

 

AsiaX:今回のプログラムを終えて、感想を聞かせてください。

 

バルドゥッチ:実際来てみて、(シンガポールは)本当にハブだな、と思いました。日本にいたら日本の市場の話しかしないし、まず日本でやってから海外考えるわ、ある程度軌道にのってからじゃないと失敗するよって皆さんおっしゃるんですけど、こちらのかたは当たり前に近隣諸国が入ってくるから、始めからシンガポールだけで見てない。海外戦略という言葉も誰も使わない。人々のセンス自体がもうハブ。

 

河野:英語圏の展開、かつアジア圏だから距離も近いしオペレーションしやすいと思ったら、結構な割合で中国語使ってるんですよね・・・。思い込みではなくちゃんと見て(ビジネスを)考えるいいきっかけになりました。今回、様々な分野のアジアのヘッドクオーターの方々とお会いしたんですが、刺さるところが日本と違う。ローカライズというよりも、ニーズを掴むことが非常に大事だと思いました。

 

山村:価値観が違うことで困ることもなく、シンガポール人優しいな、と。(日本と)ギャップを感じなかったのはプロダクトの関係上、日本人に会う機会が多かったからかも。ピッチイベントでインドやドバイの方を紹介出来ると言われて、やっぱりシンガポール、これがハブか、と実感しました。

 

吉田:マーケティング的に見ると、チャンス本当にあるんだろうか、と来る前はネガティブでしたが、来てみたら(チャンスは)まったくないというわけじゃない、可能性はあるな、と少しポジティブになった気がします。アパレルが伸びているのはアジアと中東だけなので、どうにかしてアジアを考えないとこれから先難しい。でもアルパカだし。まだいろいろ課題はあるけれど、どうやってアジアに入るか、という課題を見つけたことは大きいです。

 

関谷:日本を通さずに現地の売り上げを立てるので、今回、ディストリビューターかホールセラー見つけて、そこから東南アジアに流れていけば、と思っていたんですが、それが結構難しいとわかりました。お手伝いさん=フィリピン人。ラッキープラザ=フィリピン。東南アジアのモノと比べたら、バッグが1万円ぐらいするという時点ですでにネックがある。(ビジネスの)背景以前に難しい。でも今回のイベント終盤でファッション関係の方が、エシカルやサステナブルは今からがスタートだ、と仰ってくれて。社会起業家とかソーシャルビジネスという動き。そういう意味で、(シンガポールは)遅れていると思います。マーケティングとかブランディングとかそういう話以前の問題です。そういう意味ではこれから、という期待を持っています。

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