2018年10月31日
Q.会社の税務代理人からCorpPassに登録するように依頼されましたが、CorpPassとは何ですか。
政府のオンラインサービスを利用するための CorpPassについて
目次
- CorpPassは、事業や法人が政府のオンラインサービスを利用するためのアクセス権限を管理する制度で、2016年9月15日に新しく導入されました。これまでは、各省庁が独自に設定したアクセス管理制度(例えば、人材省(MOM)のEPOnlineや内国歳入庁(IRAS)のEASYなど)と並行して利用することができましたが、2018年9月1日より、事業や法人による政府関連のオンラインサービスへのアクセスは全てCorpPassで一括管理されることになり、各省庁による既存の制度は2018年8月31日をもって廃止されました。
- Q:誰がCorpPassにアクセスできるのでしょうか。
- Q:CorpPassには、どのようにして登録するのでしょうか。
- Q: 利用者(User)もシンガポール居住者に限られるのでしょうか。
CorpPassは、事業や法人が政府のオンラインサービスを利用するためのアクセス権限を管理する制度で、2016年9月15日に新しく導入されました。これまでは、各省庁が独自に設定したアクセス管理制度(例えば、人材省(MOM)のEPOnlineや内国歳入庁(IRAS)のEASYなど)と並行して利用することができましたが、2018年9月1日より、事業や法人による政府関連のオンラインサービスへのアクセスは全てCorpPassで一括管理されることになり、各省庁による既存の制度は2018年8月31日をもって廃止されました。
Q:誰がCorpPassにアクセスできるのでしょうか。
A: CorpPassへのアクセス権限には、3段階の役割が定められています。
①役員(Registered Officer)
シンガポールで登記された会社(支店も含む)の場合、会計法人監督庁(ACRA)に登録されている取締役、秘書役、支店の代表者などを指します。役員の役割は、次に述べる管理者を登録・削除することです。もちろん役員が自らを管理者として登録することも可能です。
②管理者(Administrator)
管理者は、実際にCorpPassを管理する人を指し、CorpPassによる全ての業務を行うことができます。自ら政府の各種オンラインサービスにアクセスすることはもちろん、他の従業員や第三者が会社名義で政府のオンラインサービスを利用できるように、利用者の登録・抹消を行ったり、利用可能なサービス内容を設定したりすることができます。
③利用者(User)
利用者は、会社名義で特定の政府のオンラインサービスを利用する人を指します。現在、シンガポールには140以上の政府のオンラインサービスがありますが、そのうち多くの会社に利用されている代表的なものとしては、会計法人監督庁(ACRA)への登記、内国歳入庁(IRAS)への税務申告、人材省(MOM)への就業ビザの申請、中央基金庁(CPF Board)へのCPF拠出金の申告などがあります。利用者は、管理者から指定された省庁およびサービスのみについて、会社名義でアクセスすることができます。
Q:CorpPassには、どのようにして登録するのでしょうか。
A: 会社は、最初に管理者を登録しなければなりません。管理者は、最低1名かつ最大2名までとされています。シンガポールで登記された法人の場合、管理者はSingPassを使ってCorpPassにアクセスする必要があり、必然的にシンガポール居住者に限定されます。管理者を登録できるのは役員のみであり、役員自らが管理者となる場合には、自分でCorpPassにアクセスして自らを登録すればよいのですが、役員でない人を管理者にする場合には、まず管理者がCorpPassにアクセスして登録を申請した上で、役員が別途CorpPassにアクセスしてその申請を承認する必要があります。役員には、管理者を削除する権限もあります。利用者の登録や削除は、全て管理者によって行われます。役員がシンガポールの居住者でない場合には、別途「承諾書(Letter of Authorisation)」を提出することにより、管理者を登録する方法も用意されています。
Q: 利用者(User)もシンガポール居住者に限られるのでしょうか。
A: 提供されるサービスによって異なり、IRASや出入国管理局(ICA)などが提供するサービスには、SingPassを持たない外国人が利用者になれるものもあります。
また、現在のところ非常に限られてはいますが、シンガポールで登記されていない外国の会社が利用できるものもあり、そのような会社は、外国人を管理者として登録することができます。
取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.)
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別のケースについて正式な助言をするものではありません。本記事内の情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.339(2018年11月1日発行)」に掲載されたものです。