2018年8月29日
第7回 仮想通貨での資産運用方法について(2)
前回は仮想通貨での資産運用方法について、ドルコスト平均法での積立投資が有効であるとお話ししました。ただし、積立投資の場合、一定金額を少額ずつ、ある程度の期間(最低でも数年程度)、継続して投資する必要があります。
一方で、価格変動が大きい事は、一長一短はありますが、仮想通貨投資の醍醐味です。価格変動が大きいという事はそれだけ短期間で利益を獲得する機会があるという事です。必ずしも短期間に限定するものではないのですが、今回は積立投資以外にどのような投資方法があるのか、一緒に見ていきましょう。
投資方法に関しては人によって異なる事もあり、多種多様ですので、まずは3原則という形でおさえましょう。
今回は3つの原則のうち、「①一度買ったらとにかく保有」、「②悲観で買って楽観で売る」の2つの原則をお話しします。「③分割エントリー・分割決済に徹する」は次回お伝えします。
定番とも言えますが「一度買ったら、とにかく保有する」つまり、持っておけばいつか上がるという予測を元に、必要以上に売買せず放置していく方法で、俗に“ガチホ”とも言います。語源は「ガチでホールド」あるいは「ガチガチのホールド」の略など諸説あります。
上図はビットコインのチャートですが、下手に売買せず保有しておけば、大きく利益を確保できた事が確認できます。仮に2017年の年初にビットコインを購入した場合、最高値比で約20倍の利益を確保できたことになります。2017年以前から投資していた場合は、莫大な利益を得たことになります。
2018年に入ってからは下落傾向にあるものの、仮想通貨の今後のポテンシャルや、各国が適切な規制・整備を行っている段階であると考えれば、現時点で仮想通貨を買い、保有しておくという手法もありだと考えられます。
仮想通貨に限らずマーケットの中で売買する商品の場合、相対取引という性質上、買いたい人と売りたい人の思惑が交錯します。そのため、一方向に価格が動けば、「買われ過ぎている」、あるいは「売られ過ぎている」と考える人が増え、その結果として反動で逆方向に価格が戻る場合が多々あります。
一般的には価格が下落している場面では、「買い」に入る事は躊躇しがちですが、反動で上がる傾向を頭に入れておけば、絶好の買い機会であると考える事ができます。売り時に関しても同じことが言え、価格が上がり楽観的な場合には、一度利益確定し、次回の暴落時(悲観)の機会を待ち、買い機会に備えるという手法もあります。
今回お伝えした2つの原則「①一度買ったらとにかく保有」、「②悲観で買って楽観で売る」は、考え方として有効である一方で、リスク管理という観点では弱点もあります。大きく利益を獲得できる機会ではあるが、タイミングを間違えれば大きく損失を被る可能性もあります。投資全般にも言える事ですが、特に価格変動が大きい仮想通貨の場合はそれが顕著になります。
しかし、3つ目の原則である「③分割エントリー・分割決済に徹する」を知っておく事で、ある程度リスクを回避できる場合があります。
ちなみに「リスク」という言葉に関して、一般的には悪い意味で「危険」という意味で用いられますが、投資においては「結果の不確実性」を意味します。言い換えれば、「リスク」とは「損益の上下の振れ幅」を指します。
投資で損をまったく出さず、大きく利益を稼ぐということは、いうまでもありませんが、最も望ましいことです。しかし、プロの投資家でも、全く投資で負けることなく勝ち続ける事は難しいものです。
上記の前提において、投資を行う上で重要なことは、「いかにリスクを低くするか(=結果の不確実性を少なくするか)」なのです。分割エントリー・分割決済がこれらを解決する有効な手段であるということです。
分割エントリー・分割決済に関しては、トレードを考える上で非常に大事な考え方ですので、次回改めてお伝えします。ぜひ楽しみにお待ちください!
著者プロフィール
三方 麻琴
M&R Partners Ptd. Ltd.
マネージングダイレクター
鹿児島県出身。株式会社サイバーエージェントFXの法務・コンプライアンス担当を経て、2009年3月に独立。独自で資産運用・トレーディングを学び、ファンド会社運営などを経て、現在は、アメリカ株式、日本株式、FX、CFDの自己勘定トレーディングを行っている。また、資産運用・トレーディングの知識および情報の普及にも力を注ぐ。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.337(2018年9月1日発行)」に掲載されたものです。