2018年2月28日
第1回 今、話題の仮想通貨とは何か
こんにちは。海外資産運用アドバイザーの三方麻琴(みかた まこと)です。本誌でのこれまでの連載(やってみよう!シンガポールで資産運用)で、資産運用についてお話してきましたが、今回の連載では、昨今非常に話題となっている仮想通貨をテーマに、その有用性と可能性についてお伝えしていきます。これからよろしくお願いしますね。
そもそも仮想通貨はどういうものなのか?
仮想通貨といえば、まず“ビットコイン”が思い浮かぶ方が多いと思います。あなたは仮想通貨に対してどういうイメージを持っていますか?
「小難しくてよくわからない」「値動きが激しい」「そもそも仕組みや実態のない通貨で怪しい」といったネガティブなイメージから、「世の中を変える革新的なもの」「値上り幅が大きくて、大儲けできる」といったポジティブなイメージまでさまざまだと思います。
『仮想通貨』とは、単純に表現すると、インターネット上で取引されるお金です。そして、その値段が外国為替や株のように上下します。
例えば、「電子マネーX」というものがあり、その値段が、今日は1X=100円だったものが、翌日には1X=110円になったり1X=90円になったりと、変動があるようなものです。
仮想通貨は、USDやSGD、円といった法定通貨と比べて価格変動が大きいことから、投資の手段として人気が高まっています。
法定通貨との違いについて
あなたが普段利用しているUSDやSGD、円などは、国家が価値を裏付けしているもので、これが法定通貨と呼ばれています。
基本的には国家・中央銀行が管理しています。国家・中央銀行の信用がつきますが、国家なども破綻してしまえば、それらの法定通貨の価値も失墜してしまいます。ジンバブエのジンバブエドルが有名な破綻事例の一つですね。
一方で、仮想通貨については、これら国・中央銀行といった管理者がおらず、インターネット上で産み出され、『ブロックチェーン』と呼ばれる革新的な仕組みを利用して、国家に依存しない非中央集権的な仕組みを構築しています。
また、銀行などと比較して送金時の手数料や、送金スピードの面において圧倒的な優位性を誇り、不正も起こりにくいといった特徴があります。
さまざまなビジネスにも応用されるブロックチェーンの仕組み
仮想通貨を理解する上で、ブロックチェーンに関しては切っても切れない関係のため、簡単に触れておきたいと思います。ブロックチェーンは一言で言えば、取引記録を暗号化したものです。
また、監視者が不特定多数いることから、不正ができない仕組みとなっています。
例えば、AさんからBさんへ送金した取引データは、ブロックチェーン上に全て公開されるので、監視者全員がそのデータをチェックできます。もし誰か一人が不正(ハッキング)をしても、他の多数の監視者が正確にチェックしているため、すぐ正しい取引データに修正上書きされるということです。
この性質を利用して、ブロックチェーン技術は生産管理といった流通分野や、著作権保護といった情報管理分野など、仮想通貨だけではなく、今後さまざまなビジネスに活用されることが期待されています。
仮想通貨はやっぱりすごい!
仮想通貨はこれまでの法定通貨の概念を変える全く新しい仕組みです。
今後、これらの技術革新が進んでいく中で、仮想通貨やブロックチェーンは生活の中でより身近なものになっていくことが予想されています。
初めて仮想通貨について学ぶ人にとっては、まだとっつきにくくて小難しいように感じるかもしれませんが、これからは知っておかなければならない重要なものになっていくと思います。
ぜひこの連載を通して、一緒に学んでいきましょう!
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。