シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP日本の良品を世界へ、インバウンドとアウトバウンドの視点から

座談会

2018年2月28日

日本の良品を世界へ、インバウンドとアウトバウンドの視点から

 

インバウンドとアウトバウンドの
相乗効果

AsiaX:東南アジアを含む訪日外国人旅行者数が年々増加しています(表2)。誘致の成果が伺えますが、そこから各地方へのインバウンドにどうつなげていくのか教えてください。

 

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岡田:観光については熊本県だけでなく九州全体で呼び込むべきと考えます。各推進関連産業から人が派遣されて構成されている九州観光推進機構もあり、実際オール九州を推進しています。まずは九州を訪れて、旅行日程のどこかで熊本に滞在していただき、そこでしか味わえないものを楽しんでいただければ。

 

最近では、県内の温泉旅館が積極的にエクスペディアなどの東南アジアからの旅行者が使うオンラインサイトに登録する動きもあり、温泉地全体で宿泊先の登録を増やして海外からの認知を高めて盛り上げています。登録数が多いエリアだと旅行者も安心して選べるようで、個人旅行を好むお国柄のタイやシンガポールのお客さんが増えているとか。ニーズのある観光地と旅行に行きたいお客さんの気持ちを繋げていきたいと思いますね。

 

田中:弊行では、過去にインドネシアの旅行会社やメディア関係者を招聘し、九州内3県にわたりハラル対策をしている旅館等を視察していただきました。また、福岡・熊本・長崎では土日祝日も外貨両替ができる場所をつくりました。福岡といえば屋台ですが、カード決済できないところが多く、両替所がシンガポールほどありません。少しでも海外旅行客の方々が過ごしやすくなるようにとの取り組みです。

 

現在、ここまでインバウンドの方が増えている中、アウトバウンドとインバウンドの垣根がひくくなっていると感じます。アウトバウンドで得たアイデアや経験をインバウンドで来る方々への対応として有効活用できる時代。今後はその辺りを見据えたアドバイスができればいいなと考えています。

 

坂本:すでにインバウンド、アウトバンドを分けて考える必要はないですよね。相乗効果がでてスピードも増している。

 

岡田:確かに。前述のお茶屋さんは熊本城近くの観光複合施設「城彩苑」の店舗でお茶製品の取り扱いがありますが、海外からの旅行者を中心に人気があるようです。シンガポールでの経験が生きて国内でも販売を伸ばしている一例かと。

 

AsiaX:インバウンド、アウトバウンドは密接。相乗効果を考えることが大事な発想になりそうです。

 

坂本:外国人に日本国内で諸々味わって楽しんでもらうと帰国してからもリピーターになってくれる。そんなファンをどれだけ増やせるか、インバウンド、アウトバウンドを並行してマーケティングしていく相乗効果が思った以上にありそう。日本とシンガポール両方に接点を持ち、情報が体系的に有効に流れる仕組みがあればいい。自ら行き来したいです。

 

田中:シンガポールを含む海外において、地域や地方という縛りではなく日本全体として取り組んでいける形になればいいなと思います。各地方自治体や我々地方銀行などが協力し、もう少し日本を全体として売り出す工夫が必要かと。日本に比べて韓国等他の国は売り出し方がうまいと感じます。クールジャパンなど政府の旗振りがある中、それぞれのミッションの垣根を超えて協力できる部分を見つけていけたらと思います。

 

寺澤:地域間競争はやめましょう、と言いたいですね。日本の中だけで競争しても仕方ない時代です。特に現地を見ないで海外進出を拒否するような方々に会うと、日本は後進国だなと不安を覚えます。日本国内で競争している間に、日本の大事な商品の商標が外国に取られてしまった事例も。今後は日本の中小企業の中でも特に小規模企業が海外で自社商品を作る時代が来るでしょう。海外進出には大きな可能性があります。本当の意味でのオールジャパン日本を期待したいです。

 

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.331(2018年3月1日発行)」に掲載されたものです。編集: 桑島 千春

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