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座談会

2018年1月26日

新年である2018年、節目にあたる2020年、各業界の最新事情と未来予測

AsiaX:首相の施政方針演説は、3つ別々に掲げられているようでいて、少子高齢化対策という点でリンクしていそうですね。糖尿病対策は高齢社会の象徴のようですし、オートメーション化することで働き手を確保し、子どもの教育を強化することで将来の優秀な働き手を増やすことにつなげるという。それにしてもシンガポールは以前から教育熱心なイメージが強いのですが、首相が掲げた声明にはどのような意味があるのでしょうか?

 

【教育業界】岡部:プリ・スクールを充実させ、未就学児童の教育を強化するということなのですが、裏にある意図は少子化対策です。共働き夫婦に対し、安心して子どもを産んでください、というメッセージが込められています。プリ・スクールの数を約5倍に増やすことで、親が働いている間に面倒を見ていてもらうだけでなく、しっかりした教育を安価に施せる体制を整える。国を揚げて両親のサポートをします、という表明だと思います。

 

佐藤:でも、産むか産まないかというのは個人の問題であって、そのコントロールはとても難しいと思います。

 

岡部:そうなんですよねえ(苦笑)。ただまあ、共働きの場合はお子さんの預け場所が必要になりますから、教育を含めた体制が整っていて、なおかつ4歳以下からでも預かってもらえる場所ができるのは、彼らにとって安心材料にはなりえます。事業者へ助成金を出し、手頃な料金を保つことや、教育省(MOE)の幼稚園に進めるなどの工夫もあるようです。

 

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AsiaX:シンガポールの親御さんは、皆さん、本当に教育熱心。いい教育が受けられる学校へ入るために引っ越しもするようですし。子どもたちが勉強疲れしてしまう、なんてことはないのでしょうか?

 

岡部:地元の公立校のレベルに格差があり、進学校入学のために転居したり、成績上位を目指さねばならないとストレスを抱える子どもがいたり。それらを問題視し、最近では下位レベルの学校のボトムアップを図ることにより、どの学校へ通っても安心して教育が受けられるよう、政府がずいぶんと力を入れています。

 

AsiaX:教育数値の高い学校ではIT教育をどんどん推進しているようですね。インターネットによる情報収集力が上がると、海外への関心が高まる、といったこともありそうな。

 

【旅行業界】西村:情報収集と活用ですね。そろそろ、私の出番へと水を向けられているのでしょうか(笑)。

 

AsiaX:お察しの通りです!シンガポールからの訪日旅行者数が、日本政府観光局調べで2015年は30.8万人、2016年は36.1万人。これって、何か理由があるのですか?

 

西村:昔は添乗員付きの旅行プランが主流でしたが、昨今、シンガポール市場では個人旅行の比重が極端に増えています。これを支えているのが、ウェブ。あらゆる情報がSNSで簡単に検索できますし、アプリやサイトで評価の高い日本食が食べられる店や場所がわかる。たとえ言葉がわからなくても、自動翻訳機能を使えば機械で注文ができる。また定期便はなくても、ハイシーズンにチャーター機が飛んでいたりするので、渡航先が地方へと拡散しつつあります。

 

岡部:なるほど、テクノロジーの後押しや地方自治体の受け入れ体制があるんですね。

 

西村:もう1つ重要なファクターが、格安航空です。日本各地への直行便が増えています。例えばスクートが2017年12月から関西空港への直行便をスタートさせました。これが最低料金S$212から(※)。
※2018年1月17日時点での価格

 

AsiaX:え、そんな安いんですか!?

 

西村:飛行機にお金を使わないぶん、宿泊先や体験など、渡航地でお金を使う人が出てきています。

 

藤井:体験というと?

 

西村:アジアではマラソン熱が高まっています。日本はマラソン大会が非常に多いので、そういったイベントへの海外からの参加者も増えていますよ。2019年のラグビーW杯、2020年の東京オリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズと、日本は大きなスポーツの祭典が続くので、当社もスポーツツーリズムに貢献してゆきたいと思っています。

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