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座談会

2017年8月25日

シンガポールの日系飲食店、成功のカギ!

シンガポール人スタッフを
うまくマネジメントするには?

AsiaX:料理やサービスを提供するスタッフも大事ですが、教育について、どのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。またシンガポール人の場合、仕事への意識が日本人と異なり、転職も盛んなようです。うまくマネジメントするためにどのような工夫をされていますか。

 

植村:当社の場合、各店舗で取り組むべきことについて全スタッフに研修を施しますが、その内容は各店舗に合わせて決めるという、日本での社員教育方式を引き継いでいます。またシンガポールの飲食業界で役立つのがどのようなスキルなのか、面白おかしい事例などを交えながら、ゲーム形式で教えるようにすることで、効果を高められるよう工夫しています。

 

山下:当社の場合、各店舗にシンガポール人のマネージャーをつけ、基本的にその人に全てのスタッフを教育してもらっています。そのうえで、各店舗のマネージャーと、日本人のマネジメントクラスとの間で報連相を徹底、情報を共有しながら、それぞれの課題に対してどのような解決策があるのかを探るスタイルを取っています。目の前の問題をひとつひとつ確実にクリアしていくよう努めています。

 

佐藤:当社では、平日の毎朝ミーティングを行っており、日本人幹部社員とローカルマネージャーが集まり、仕事上のコミュニケーションに齟齬がないか情報を共有しています。また店舗が増えると、どうしても苦情も増えてきます。あるクレームについて、別の店でも同じことが起こる可能性がないとは言いきれません。直近でどんなクレームがあったのか、対処方法と合わせて全員に共有することで、業務を円滑に進められるよう、常に情報を発信しています。

 

岩崎:シンガポール人スタッフは、自分たちなりのやり方で売上を伸ばそうと努力してくれていますが、どうしても日本人との考え方の違いは出てきます。そこを理解しつつ、こちらの考えも分かってもらおうという態度が大事ですね。私は各店舗を回って、責任者にどうしてほしいか伝えるようにしています。やはり日本人が説明しないと分からない部分はあると思います。

 

寿司の場合、季節ごとに使う魚が変わるなど、飲食店の中でも少し特殊なので、仕事を覚えるには時間がかかります。巻物など比較的調理が簡単なメニューならまだしも、日本人と同じ「感覚」はなかなか教えられるものではありません。長期間働いているシンガポール人スタッフを見ても、まだちゃんと教えきれてないと思うことも多いのです。寿司屋の仕事をきちんと教えるためにも、日本人スタッフは欠かせません。

 

植村:シンガポール人が働きやすい環境をつくるという点では、どうやってスタッフにやりがいを与えるかということが大切ではないでしょうか。ただし、スタッフに好きなことをさせるだけでは店のスタイルから逸脱してしまうので、その加減が難しくなります。ある程度の裁量を与える一方で、間違った方向へ行ってしまいそうになったなら修正する必要があります。

 

シンガポール人が働きやすい環境づくりは重要ですよね。当社では、本社から日本人を派遣していますが、エンプロイメント・パス(EP)を取得するのはマネジメントレベルの役職だけなので、現場を支えるローカルスタッフの力は欠かせません。

 

当社が運営する店舗のひとつ「美人鍋」の場合、特に若いパートタイマーを大切にしており、勤続6年目を迎えるスタッフもいます。日本人らに各店舗のリーダー的な役割を担ってもらい、そこでシンガポール人の若いスタッフが楽しく働けるよう努めています。それでもスタッフが辞めることもありますが、比較的残ってくれる人は多いと思います。

 

同じ会社が、業態の違う店舗を設けることも効果的かもしれません。シンガポール人が仕事を辞める理由として多いのが、「同じ仕事を続けることに飽きた」というものです。そんな時、もし違う業態の店舗があれば、そこで働くつもりはないか提案することもでき、離職率を下げることにもつながるのではないでしょうか。当社では、環境を変えながら長く働いてもらえるよう、業態を増やす試みも行っています。

 

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