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シンガポール星層解明

2017年1月1日

2017年シンガポールの流通・消費トレンドを大予想!

長距離路線の格安航空化の幕開け
北米路線開設ラッシュの影響は如何に

世界有数のハブ空港を有するシンガポールに相応しく、航空業界も注目のニュースが目白押しである。

 

まずシンガポール航空子会社の格安航空会社(LCC)で主に短距離路線を展開するタイガーエアは、2017年下半期を目途に中距離路線が中心のスクートに統合されることになっているが、そのスクートは2017年6月にシンガポールからアテネに、初の欧州路線かつ最長の路線となる直行便を就航させる予定である。将来的には北米への就航可能性にも言及されるスクートに加えて、2017年中にクアラルンプールから関空経由でホノルル線を就航することが期待される、隣国マレーシアのLCCエアアジアを筆頭に、2017年は長距離路線のLCC化の幕開けになるとみている。

 

またエアアジアや香港のキャセイパシフィックが移転先として表明しているターミナル4(T4)が2017年の下半期に開業することにより、チャンギ空港発着の「ドル箱路線」かつ世界の国際路線トップ10(2015年、旅客数ベース)にも入るジャカルタ線、バンコク線、クアラルンプール線、および香港線の旅客数は増加の傾向が続くとみているが、東南アジア最大のハブ空港としての地位を維持したいチャンギ空港に懸念材料が全くないわけではない。

 

2017年は「ドル箱路線」の就航地の航空会社が相次いで北米路線を開設する計画を持っており、前述のエアアジアのホノルル路線に加えて、ガルーダ・インドネシア航空とタイ国際航空の2社は米国西海岸への就航再開を準備しているとされ、実現すれば限定的ではあるものの一定のインパクトをチャンギ空港の旅客数に及ぼすことになるとみている。2016年10月にはシンガポール航空が3年振りの米国西海岸への直行便となるサンフランシスコ線を開設し、2018年にはロサンゼルスとニューヨークへの直行便の再開を予定、近い将来にはボストン、シカゴ、マイアミへの路線も検討しているとされるなかで、2017年の東南アジア域内の航空会社の動向は、チャンギ空港とシンガポール航空の今後を占ううえで重要な示唆を与えることになると考えている。

web_profileプロフィール
山﨑 良太
(やまざき りょうた)
慶應義塾大学経済学部卒業。外資系コンサルティング会社のシンガポールオフィスに所属。週の大半はインドネシアやミャンマーなどの域内各国で小売、消費財、運輸分野を中心とする企業の新規市場参入、事業デューデリジェンス、PMI(M&A統合プロセス)、オペレーション改善のプロジェクトに従事。週末は家族との時間が最優先ながらスポーツで心身を鍛錬。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.316(2017年1月1日発行)」に掲載されたものです

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