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星・見聞録

2016年4月4日

シンガポールのお酒事情

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世界各都市の生活費ランキングで、3年連続1位となったシンガポール。中でもとりわけ値段が高いと言われるのが「お酒」。シンガポールのお酒はなぜ高い? 個人の持ち込み量の免税範囲は? など身近な話題から、シンガポール国内のお酒の消費量や昨今の日本酒ブームなど、シンガポールのお酒にまつわるあれこれを探ってみました。

 

ちょいと一杯……のはずがなぜ高い?お酒にかかる税金

シンガポールのスーパーや小売店を覗くと、ビールなどの価格は日本と比較しても大差はありませんが、ワインや日本酒、焼酎などは大きく差があることが分かります。その大きな理由はシンガポールの酒類に対する課税制度の違い。シンガポールでは含まれるアルコールの割合によって課される税額が変わってくるのです。
シンガポールに酒類を輸入する場合、ビールは1リットル当たり輸入税(Customs Duty)が16Sドル(約1,300円)、物品税(Excise Duty)が60Sドル(約5,000円)かかるので、計76Sドル(約6,300円)が基準となり、これにアルコールの割合をかけたものが実際に課される額となります。ビール以外の醸造酒(日本酒、ワインなど)や蒸留酒(焼酎、泡盛、ウイスキー、ウォッカなど)は基本的に輸入税はありませんが、物品税として1リットル当たり88Sドル(約7,300円)という規定額にアルコールの割合をかけたものが課されます。
例えば、アルコール分25%の焼酎のボトル1本(720ミリリットル)あたりのシンガポールでの税額は、0.72(リットル)×88Sドル(物品税)×0.25(アルコール度数)=15.84Sドル(約1,310円)となります。上記の計算に基づき、特定のアルコール度数について1リットル

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当たりの税額を日本とシンガポールで比較したものが上の表(表1)になります。輸入大国シンガポールにあっては酒類も輸入がほとんど。日本で手軽に楽しんでいた日本酒やワイン、焼酎などが高い理由が納得いただけるのではないでしょうか。逆にシンガポール国内産のビールには前述の輸入税が課されないため、当地で生産されるタイガービールやアンカービールなどは比較的手頃なのです。さらに、輸送の際、デリケートなお酒には専用のコンテナが使用されるなど、税金に加えて輸送費というコストもシンガポールの「一杯」をますます高くしているのです。

 

夜10時半以降はダメ!厳しくなった公共の場での酒取り締まり

web_alcohol2015年4月1日より午後10時半~翌朝7時まで、公園や公営住宅(HDB)の床下空間を含む公の場での飲酒および商店での酒類販売が禁止されるようになりました。寄宿舎は公共の場とみなされますが、宿舎運営者の許可があれば部屋の中での飲酒が可能です。コンドミニアムは公共の場とはみなされません。この法令は外国人観光客や外国人労働者に対しても適用され、違反者には1,000Sドル(約8万2,000円)以上の罰金または最長3ヵ月の禁錮刑が科されます。この法令誕生は、2013年12月に起こったリトルインディアでの大規模な暴動がきっかけになったとも言われています。この事件は当時、バスに乗車していた酔っ払いのインド国籍の労働者がバスから追い出され、発車したバスにひかれて死亡したことが暴動の発端となりました。最終的には400人以上が集まり、バスなどを壊したり放火したりするなど、44年ぶりの大規模な暴動へと発展しました。当時、リトルインディア地区では日曜の夜などにインド系の外国人労働者が集まって道端や公園でお酒を飲むことが常態化しており、死亡した男性や暴動に参加した人々の大半が酒に酔っていたといいます。これを受けて政府は、公共の場所での飲酒について、取り締まる考えを強めたようです。

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