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シンガポール星層解明

2016年3月21日

巨大「空ナカ」として飛躍を続けるチャンギ国際空港の成長秘策

ハブ空港ならではの強みと巧みな動線設計

 

さて、ここまで旅客者、空港運営会社、出店企業の観点からチャンギ国際空港の物販売上増加の背景を述べてきたが、これらに加えて2点ほどチャンギ国際空港の特有の事情を紹介したい。

 

1点目は全体の旅客数の約3割を占めると言われるトランジット(乗り継ぎ)客の存在である。すなわちチャンギ国際空港は東南アジアのハブ空港として、欧州などからシンガポールを経由してその他の東南アジア各国へ移動する旅客者、またその逆に東南アジア各国からシンガポールを経由して欧州などへ移動する旅客者が飛行機を乗り換える要衝(ハブ)となっており、それに伴い必然的に一定の時間を空港内で過ごすトランジット客の存在が物販売上に貢献していると考えられる。

 

 

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チャンギ国際空港の売上に大きく寄与するトランジット客の存在

 

2点目は到着客に対する販売である。成田国際空港や羽田空港を例にとると分かりやすいと思うが、多くの空港では到着客は出発客とは隔離された専用の通路を通って空港外に出ることになる。しかし、チャンギ国際空港では到着客も出発客と同じ空間を経て入国手続きに向かう動線設計になっており、到着客が出発エリア内の店舗で買い物することが可能になっているのだ。また、入国手続きを終えてから手荷物を受け取るまでの移動空間にはアルコール類などを販売する免税店が配置されており、到着客が規定の範囲内であれば免税で購入できるようになっている。酒税の高いシンガポールらしく、これらの店舗はシンガポールに在住していると思われる人々で常時賑わいを見せている。

 

 

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免税の範囲を例示することで、到着客への訴求力が視覚的に向上

 

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