2016年3月21日
Q.『ストレスチェック』は必要!?
『ストレスチェック』は、近年、日本国内で増加する労働者のメンタルヘルス不調に対し、その未然防止の強化を目的として2015年12月から始まった制度です。労働者に対して定期的にストレスチェックを行い、労働者が自らのストレス状況を把握することが制度導入の狙いです。なお、対象となる労働者50人以上の会社(事業場)は、1年に1回以上ストレスチェックを実施しなければなりません。
また、出向者に対するストレスチェックは、出向元・先のどちらで実施するのかが問題になってきますが、在籍出向のケースは、労働者への指揮命令権は出向先にあり、安全衛生に関する適用も出向先にあるため、ストレスチェックの実施義務も出向先にあると考えます。しかし、今回のケースのように海外の現地法人に出向している労働者に対しては、ストレスチェックの実施は義務付けられていません。なぜなら、海外の現地法人にはそもそも日本の法律が適用されないため、ストレスチェックの義務もないのです。ただ、ストレスチェックの本来の目的は「メンタルヘルス不調の未然防止」です。
義務がないからという理由で実施しないことは、未然防止の観点から望ましい判断とはいえません。海外出向者であっても、業務報告等で帰国することもあると思いますので、そのタイミングを見計らってストレスチェックを実施してはいかがでしょうか。義務がないとはいえ同じ会社の従業員ですし、異なる対応は労務管理上避けるべきです。
社労士大槻オフィスシンガポール
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.298(2016年3月21日発行)」に掲載されたものです。