おもてなし力編 第1回　おもてなしリーダーとしての3つの心がまえ

部下を持つ立場となったリーダーに必要な資質は“相手視”です。やらされているのではなく、能動的に自ら考えて動く組織をつくることができるリーダーこそが必ず成果を上げることができます。

リーダーの中には自身でやるべきことをやらず、本来部下がやるべきことをリーダー自らがこなしてしまう人がいます。私の場合、社員からリーダーになった後は、リーダーとしてやるべき大切な任務を全うすることにこだわってきました。

確かに、最前線や現場に近いところで仕事をしたい、お客様と過ごす時間がもっと欲しいという気持ちもあるのは、現場の経験があれば当然のこと。しかし、自分のやりたいことばかりをやっていては、組織やお客様は守れません。やはり社員がやるべきことと、リーダーがやるべきことは確実に違うのです。

「おもてなしの心」で接することが非常に大事な現代。今回はまず、これまでの経験をもとに感じた、「おもてなしリーダー」としての力を磨くために必要な心がまえを3つ紹介します。

1：自分の能力を他人のために役立てる
人生の目的の1つは、自分に与えられた独自の才能を発見し、それを他人に役立てることです。職業に貴賎はありません。学校の先生であれ、弁護士であれ、靴磨きであれ、ビルの清掃係であれ、他人に奉仕するという点では同等です。リーダーは組織を率いる立場にありますので、どんな仕事をするにしても、人のため、組織のために心をこめて打ち込みましょう。

2：人々に愛を与えて、愛を伝える
私たちがこの地球上に存在するのは愛の大切さを学び、できるだけ多くの方に愛を与えて、愛を伝えるため。このことを私自身も著名な師匠から強く学んできました。

決して、人を批判して満足を得ようとしてはいけません。それは建設的ではないからです。愛を与えて愛を伝えれば、結果としてより多くの愛があなたのもとに返ってきます。親が子供に対する愛をイメージしていただければ、わかりやすいのではないでしょうか。リーダーは愛の力を信じて、まずあなたがより多くの愛をお客様に、部下に与えてください。自分にも大きな満足感を得ることができるはずです。そして、愛を受け取ることに慣れていない方には愛を伝えていきましょう。

3：お客様には優しく、部下には厳しく
私たちはお客様からお金をいただいて、そのお金以上の価値を提供する努力をし続けることでしか存在意義がありません。会社を経営する上で最も危険なことの1つに、慢心があります。特に会社の業績が良い時ほど注意が必要です。提供者だけの側面でしか物事を見られなくなると、お客様の視点を忘れて自分たちの行動を振り返ることができなくなり、やがて慢心によってサービスの質が低下します。

小さなミス、小さな気遣いの無さでお客様の信頼は不信に変わります。どんな組織にも、こうした慢心や馴れは必ず訪れます。そういうことに甘い会社は社員にとっては優しい会社かもしれませんが、やがてお客様にご愛顧されない会社となり、結果として低迷していきます。本当の意味では社員にも優しくなく、愛のない会社だと断言できます。

私はたとえ「都田建設は厳しい会社」と言う人がいても全く構いませんし、それが本当の意味での「絆」を守ることだと胸を張って言えます。仕事に対して一切甘えのない、最も難しい「厳しさの愛」を与えること。それを私たちは本気で、全員で大切にしているのです。

このような考えは価値観によるので、それが良い悪いではなく合うか合わないかの問題です。長い期間、お客様や社員と良い関係を築くためには、自らを律し、互いに感謝の気持ちを持つことでしか続かないと思います。

「お客様には優しいのにスタッフには厳しい」というのは、お客様視点でも社員目線でも当たり前のこと、とリーダーには理解してほしいですし、そういう心構えが大切なのです。