高度な技術力で培われたコンクリート シンガポールのインフラ需要に応える

昨年末にMRTダウンタウンライン第2期の路線が開通した。今後もシンガポールでは新路線の開業や、既存の路線の延伸などが予定されている。こうしたMRTプロジェクトに参画をめざし、プレキャストコンクリート製品の製造を手がけるジオスター株式会社（本社:東京都文京区）のシンガポールの拠点としてGEOSTR-RV PTE. LTD.が設立された。

プレキャストコンクリート工法とは、工場であらかじめ製造されたコンクリート製品およびそれらを現場に持ち込んで躯体を組み立てる工法。同社はシンガポールの拠点と同時にマレーシアのジョホールバルにプレキャストコンクリートの製造工場も設立。2019年から開通予定のMRTトムソン・イーストコーストラインのトンネルに同社の製品が使われることになっている。

GEOSTR-RV PTE. LTD.のマネージングダイレクター田中秀樹さんは、プレキャストコンクリートの利点を次のように説明する。

「現場でコンクリートを型に流し込む方法ですと、コンクリートが硬化してできあがるまで気候の影響を受けるなど時間を要し、ほかの作業にも影響が出ることがあります。一方、プレキャストコンクリートは工場で製造した部品（セグメント）を現場で組み建てるので、工期が短縮できます」。

都市化が進む東南アジアにマッチする高品質コンクリートと効率的な工法

同社初の海外拠点にシンガポールが選ばれた理由として、先述のMRTの建設計画があること、そして政府の姿勢があるという。
「シンガポール政府は発表したことは必ず実行するので、信頼できます。また、技術力と生産性向上を求めているという点においても、当社の強みを評価してもらえます」。
シンガポールだけでなく東南アジア域内においても同社の技術を売り込むチャンスが広がっている。

「マレーシアのクアラルンプールではMRTの延伸が計画され、ベトナムのハノイ、ホーチミン市、インドネシアのジャカルタでもMRT導入の計画があり、すでに工事が始まっているところもあります。急速に都市化が進んでおり、インフラ工事の需要が増えているのです。これらの都市では用地確保や交通渋滞などの面から、地盤を直接掘り下げて工事を行うと、都市機能に支障を来す場合があります。そこで、地下を掘り進め、プレキャストコンクリートでトンネルの外壁となるブロックを組み立てていくシールド工法が有用なのです」。

世界中でつくられ、様々な場所で用いられるコンクリート。製法が確立されている中でいかによいコンクリートをつくるか。田中さんは、土木工学者の吉田徳次郎博士の言葉を常に考えるという。

「『すべてのコンクリートはセメント、水、砂利を混ぜたもの。しかし、良いものと悪いものの違いは、製造者の知識と正直、そして親切を混ぜるかどうかにかかっている』という言葉を大切にしています。コンクリートの品質と専門技術に裏付けられた付加価値こそ、当社の強みです」。

会社プロフィール
公共工事に使用されるコンクリート製品・金属製品の製造・販売で日本国内トップクラスのシェアを誇るジオスター株式会社の海外営業拠点として2014年6月にシンガポールに設立。社名GEOSTRには、Geoware（環境を考えた製品や技術）Giant、 Endless Effort、Originality Oriented、Support Satisfaction、Think &Try 、Reliable Responsibility の意味が込められている。

GEOSTR-RV PTE. LTD.
510 Thomson Road #B1-01 SLF Bldg. Singapore 298135
Tel: 6802-3040
www.geostr.co.jp