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法律相談

2012年9月3日

Q.シンガポールの会社からミャンマーに投資を行う際の外資規制について教えてください。

シンガポールからのミャンマー投資について

ミャンマー法上、包括的な外資保有規制はなく、一般に100%外資保有の会社を設立することができます。ただし、事業の種類や事業上の必要性等に応じて、主に次のような規制があります。なお、法令によらず不明瞭な政府の方針によって運用されている部分も多いため、実際に投資を行う際には担当官庁や専門家に関連規制を確認することが不可欠です。

 

  1. 規制事業
    特定の事業分野については、法令、政府の方針等に基づく一定の規制があります。チーク材、天然資源に関連する事業、郵便・通信等の国の基幹産業については、政府企業との合弁事業等の例外を除き、原則として政府企業による独占的な事業とされています。
    また、外国企業(1人でも外国投資家が会社の株式を有し、会社の支配に関与している企業)については、事業を開始するために一般的な営業許可を取得する必要がありますが、貿易業(商品の輸出入等を主とする事業)については営業許可がおりず、また、製造業を行う場合には外国投資法(税金の減免等の投資優遇措置を定める法律)に基づくミャンマー投資委員会の投資承認(「MIC承認」)が営業許可の条件とされる等の政府の方針に基づく制約があります。
  2. 最低投資額規制
    外国企業には、事業目的と投資優遇措置の必要性等に応じて、一定の最低投資額が要求されます。具体的には、製造業についてはUS$500,000、サービス業については(MIC承認を取得のうえ、投資優遇措置の適用を受ける場合)US$300,000又は(MIC承認を取得せず、投資優遇措置の適用を受けない場合)US$50,000です。収益活動を行わない駐在員事務所の場合にもUS$50,000が最低投資額として要求されます。
  3. 不動産保有規制
    不動産は、外国企業にとって規制が厳しい分野のひとつです。形式的又は実質的にミャンマー国民・企業に運営・支配されていない外国企業は、基本的に土地、建物等の不動産を保有することができず、上記外国企業に認められる不動産上の権利は、1年以下の賃貸借権、MIC承認を得た会社の場合における最大30年とする賃貸借権(延長可)等に限られます。
  4. 外貨送金規制
    実務上、大きな問題となるのが外貨送金の問題です。

 

ⅰ.  ミャンマーへの外貨送金については、アメリカの経済制裁が一時的に停止したものの、日本からのミャンマーへの米ドル送金は未だ難しいようです(なお、8月16日に日本の大手都銀のひとつがミャンマーへの米ドル送金を開始する旨の報道がありました)。一方、シンガポールの一部の銀行では、従前からミャンマーへの米ドル送金も取り扱っているようです。また、

 

ⅱ.  ミャンマーからの外貨送金については、基本的にミャンマー中央銀行の承認が必要となり、MIC承認に基づき外貨送金が権利として認められたもの以外については未だ不確実性が残っています。

なお、ミャンマーから特定の支払いを行う場合、ミャンマーの税制上、源泉税が課せられるものがありますが、シンガポールはミャンマーと租税条約を締結しているため、源泉税が減免されるものがあります。その他同条約に基づき二重課税が回避される措置が図られているなど、シンガポールから投資を行う一定のメリットが認められます。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 伴 真範

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.219(2012年09月03日発行)」に掲載されたものです。

本記事は、一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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