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法律相談

2006年5月15日

Q.シンガポールの法律は薬物犯罪には厳しく密輸の刑罰は死刑など飛行機内のアナウンスなどでも聞くのですが、これについてもう少し詳しく教えて下さい。

薬物犯罪に関する法律

Misuse of Drugs Actにより、規制対象薬物について禁止行為を行った場合に同法に基づいて処罰がされます。同法には対象薬品リストが、禁止行為はとして例えば許可のない輸出入、製造・売買・摂取・吸引等、この他にも例えば場所を提供した家主など幇助する行為も広く定められています。刑罰の種類には、死刑、禁固刑(終身刑を含む)、鞭打ち、罰金(及び死刑以外は2種類以上の組合せ)があります。刑罰の選択は薬物の種類・量・禁止行為の種類に応じて個別に定められています。例えば、ヘロインを15グラム以上密輸した場合、死刑。10-15グラムの場合は、20~30年の禁固刑+鞭打ち15回、又は、終身刑+鞭打ち15回の範囲内で刑に処せられるとあります。

 

比較的最近の薬物事犯の例として、ベトナム系オーストラリア人男性(25歳)が、カンボジからシンガポール経由でオーストラリアへ帰国しようとした際チャンギ空港で手荷物に隠し持っていたヘロインが発見された事件がありました。これは規制薬物のシンガポール国内への密輸入に当たります。一審判決では、死刑の規定量をはるかに超えるヘロイン量396.2グラムが認定されて死刑判決が言い渡されました。控訴裁判所(最終審)へ上訴がされましたが、一審の事実認定に誤りがないこと、裁判官がいったんこの法律に違反する事実があったことを認定すれば同法の解釈として死刑しか適用できない(mandatory)ことなどから、死刑支持の判決が確定しました。

 

その後死刑の是非をめぐっては、オーストラリアでは死刑制度を廃止していること、死刑は一般に非人道的な刑罰であって基本的人権を保護する国際法に反する等から執行に反対する論議もありました。しかし死刑の存在はシンガポールだけに限ったものではないこと、一法治国家における法の適用・執行は尊重されるべきことが重視されました。この件では昨年末死刑執行がされています。

 

このように死刑と法律で規定される量(あるいはそれ以上)の薬物に関わる犯罪行為を行った場合、死刑しか選択肢がないこと、さらに一旦確定した死刑は比較的早く執行されることを加えれば、シンガポールでは違法薬物=即死刑という認識は決して誤りとはいえません。国として薬物犯罪に対して非常に厳しい態度を貫いていると言うことがこの法律にも表れています。安易な気持ちで薬物に近づくことのないよう自覚が必要なのはもちろんです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.074(2006年05月15日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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