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法律相談

2005年9月5日

Q.シンガポールの会社に関する書類で、M&Aと俗に呼ばれているものがありますが、これは具体的にはどのようなものを言うのですか。

M&A

M&Aとは“Memorandum and Articles of Association”の略称で、日本の会社法で言えば定款に該当する書類です。なお、M&Aというと“Merger and Acquisition”(会社合併、企業買収の意味)を思い浮かべられる方が多くいらっしゃるかもしれませんが、会社の書類としてのM&Aという場合は、この合併や買収の意味ではありません。

 

M&Aとは何かについて詳しく見てみますが、M&Aは実は(1)Memorandumと(2)Articles of Associationの別の二つの書類から構成されています。これらを2つまとめて略称としてM&Aと言うのが慣例です。

 

はじめにMemorandumとは、会社の基本的・重要な事項について定める書類です。基本的・重要な事項とは、例えば会社の名前、資本金の額、会社の目的などがあります。なお、会社の目的すなわち会社の意図する営業活動の内容に関しては、近時会社法の改正がされました。改正以前は会社の目的・活動内容の詳細はMemorandumにおいて掲げることが法律上の要件とされていました。しかし現在では、Memorandumで特に会社の活動内容を限定していない限りにおいては、会社は原則として全ての営業活動を行う権利能力がある、とされています。そうすると、現在では会社は原則として全ての営業活動ができるので、Memorandum で特に会社の目的を定めていなくても問題はないということになります。逆に何らかの理由で会社の権利能力に一定の制限を設けたい場合はここに定めることもできます。

 

次に、Articles of Association とは、会社の内部自治に関する事項についてその細則を定める書類です。会社法において特に規制がされていない事項や、会社法においてある事項についてはArticles of Associationにおいて定めるべき、或いは定めても良い、とされている事項については、会社がArticles of Associationにおいて独自に定めることができます。

 

そのような事項は多岐にわたりますが例として挙げてみると、株式譲渡に関する制限、取締役の定員(人数)、取締役の退任事由、株主総会や取締役会等会議の召集通知の方法に関して、取締役会や株主総会等会議をTV会議システムや電話、電子メール等で行うなどの特殊な会議の方法を設けたい場合等が考えられます。このように、会社の内部自治事項についてある程度各会社の自由な決定に委ねることができるとされている趣旨は、法はできるだけ会社の自由な経営判断を尊重し、会社が個別の事情に合わせて、より効率の良い会社組織作りができるようにすることにあります。

 

M&Aは、通常ではシンガポールにおいて会社を設立する時、弁護士事務所や会計事務所で既に定型が用意されていてそれをそのまま使用して会社を設立する場合も実際多くあります。しかしM&Aは会社にとって組織の基本を定める重要な書類であることを考えると、会社の組織に関する基本的な事項として何が必要かを十分理解・検討した上で、いわばオーダーメイドのM&Aを作成することが望ましいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.058(2005年09月05日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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