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法律相談

2004年11月1日

Q.最近の法改正で出産休暇と育児休暇の制度が変わったようです。改正点を教えて下さい。

出産・育児休暇制度の改正点

出産と育児に関する休暇について法改正があり10月1日から施行されました。

 

はじめに出産休暇ですが、最大の改正点は期間が従来の8週間から延長され12週間となった点です。延長分が有給となるかは適用法規により若干異なります。

 

まず雇用法(Employment Act)に基づく場合です。シンガポールでは雇用法の適用のある場合というのは比較的限られています。船員、家事労働者、マネージャー等企業の経営者の地位にある者、守秘義務を負う職位にある従業員等は適用除外です。雇用法が適用される場合、休暇期間自体は12週間認められますが、同法上雇用主に給与支払い義務があるのは8週間分です。また出産日以前180日以上勤務し、過去の出産が2回以内等、休暇が有給とされるには条件があります。

 

次にChildren Development Co-Savings Actに基づく場合です。同法改正では12週間の出産休暇と同期間の給与支給が定められました。上記の雇用法と両方にあてはまる場合は、この法律により12週間の有給の出産休暇となります。また雇用法の適用のない重役等でも、この法律に該当すれば12週間の有給出産休暇となります。但し、同法には条件があります。生まれる子供が出生時点でシンガポール国籍、子どもの数(生まれる子を含め)4人まで、適法な婚姻関係にある両親である、出産日以前180日以上の勤続等規定の事由です。改正法では12週間分の賃金のうち、8週間分は雇用主の負担、今回延長の4週間分は給与支払い後政府が企業に対して補償します(子どもの数に応じ金額に上限あり)。

 

また今回延長の4週間相当分の休暇は、雇用主が同意した場合にフレキシブルに取ることが可能です。例えば半日勤務の日を設ける等です。但しこのフレキシブル休暇は出産後6カ月以内に限り、かつ合計24日間までとされています。

 

いずれの法律も適用されない場合、例えば、外国籍の子どもを出産する会社重役の場合等、12週間の出産休暇が認められるか、また有給となるかは個別の雇用契約条項や雇用主の同意等が基礎となります。この点について政府機関はガイドラインを発行し、今回の改正趣旨である産後の母体保護を徹底させるため、全ての女性労働者について出産休暇を延長するよう企業に対して推奨しています。

 

次に育児休暇についてですが、これは雇用法改正において導入されました。3カ月以上勤続する従業員に7歳未満の子どもがいる場合、子どもの数に関わらず年間2日の有給休暇が与えられます。雇用法の適用のない従業員について法律上強制力はありませんが、政府はこの休暇を導入すべきことを強く推奨しており、早期導入が望まれます。

取材協力=Kelvin Chia Partnership

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.018(2004年11月01日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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