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法律相談

2004年9月6日

Q.駐在員の家族でDependent Pass(被扶養者パス)保持者ですが、シンガポールで会社を設立できますか。費用はどの位かかりますか。

DP保持者の会社設立

会社にはいくつか種類があります。日本でいう株式会社にあたる私的・有限責任・株式非公開形式の会社(Pte Ltd:プライベート・リミテッド)が一般的です。今年から改正会社法により一人会社(株主と取締役が同一かつ一人の会社)が認められ、個人起業を計画される方にとって良い環境となりました。そこで被扶養者パスの方が一人会社を設立する場合を考えます。

 

永住者でない外国人が会社を設立する場合、法律事務所等に依頼します。個人で登記ができるのは、会社の株主や役員が全てシンガポール国民または永住者の場合です。

 

まず会社名を決めます。会社名は登記前にACRAという政府機関の承認が必要です。政府機関名、公序良俗違反、既登録の名称等の理由で拒絶される場合もあるため、複数を検討します。

 

会社の人的要素についてですが、株主は外国人でも構いません。取締役は、最低一人がシンガポール居住者でなければなりません。この関係で、被扶養者パスの方が唯一の取締役となれるかですが、被扶養者パスの方も法律上居住者と考えられますので、取締役として登記することは法的に可能です。

 

しかし、会社登記後に被扶養者パスのままで働くにはLetter Of Consentという労働許可が別途必要です。または新たにEmployment Passを取得します。労働許可を得られるかは、あくまで当局の審査による裁量判断です。

 

またカンパニー・セクレタリー(注:会社の機関であって重役等の事務を扱う個人秘書ではありません)が必要です。資格等は要りませんが、多くの場合弁護士・会計士等の専門知識のある者が行います。なお一人会社の場合は取締役と兼任できません。

 

その他重要な事項として、会社の登録事務所の整備、株式や資本に関する事項、定款整備等があります。

 

費用は、登記料300ドル、会社名申請料が名前一つにつき15ドル等、各種政府料金、これらと別に弁護士等依頼の費用がかかります。弁護士等費用は事務所によって異なりますので、まず見積もりを依頼します。

 

なお、事業内容によっては政府機関の営業許認可や届出が必要です。また、個人事業主、パートナーシップ、日本の会社の支店、駐在員事務所等、株式会社以外の形態で事業を営む方が適切な場合もありますので、あらかじめ、どのような選択肢があるかも個別に相談・検討したうえ会社を設立するか決定すべきです。

取材協力=Kelvin Chia Partnership

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.010(2004年09月06日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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