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会計・税務相談

2014年9月1日

Q.商品・サービス税(GST)の課税事業者に登録しましたが、GST法についてあまり詳しく知りません。GSTの取り扱いについて注意しなければならない間違いやすい取引について教えてください。

間違いやすい商品・サービス税(GST)の取扱い

GSTの基本は、シンガポール内国歳入庁(IRAS)に登録された課税事業者がシンガポール国内で供給した商品またはサービス、あるいはシンガポールに輸入された商品についてGST(標準税率7%)を徴収し申告・納付するという制度です。IRASは、一般の課税事業者がGSTの取り扱いを誤りやすい取引として以下のようなものを挙げ、注意を促しています。

 

  1. 固定資産の売却・処分
    不要になった固定資産を従業員に有償で譲ったり、関連会社に簿価で譲渡するような場合、これらの取引はシンガポール国内での商品の供給と見なされ、GSTを徴収して課税取引として申告する必要があります。
  2. 商品の無償供与・贈与
    会社の製品を無償で従業員に提供したり、客先の会社にお歳暮を贈るような場合、これらの無償供与する商品の価値がS$200を超える場合には、見なし課税供給として仮受GSTを申告して納付しなければなりません。ただし、当該商品について対応する仮払GSTの還付請求をしない場合には、仮受GSTの申告・納付が免除されます。
  3. 商品の下取り
    例えば、会社所有の乗用車の買い替えの際に、現在所有する中古車両をディーラーが一定価格で下取りする場合、下取りによる割引と新車の購入は相殺せずに別々の取引として計上し、下取りに関しては中古車両の売却としてTax Invoiceを発行してGSTを徴収しなければなりません。
  4. 費用の立替払い
    関連会社の費用を立替払いして付替請求するような場合、立替払いした費用が誰宛に請求されたものであるかによって取り扱いが異なります。例えば、自社宛に請求された費用を一旦支払った後に、その商品またはサービスの実質的な受益者である関連会社に付替請求するような場合には、立替払いした費用のGSTは自社の仮払GSTとして還付請求することができ、その付替請求については他の一般の取引と同じようにそれが課税供給であればTax Invoiceを発行してGSTを徴収しなければなりません。一方、関連会社宛に請求された費用についてその支払いのみを代行するような場合には、当該支払いに関する仮払GSTを還付請求することはできず、その付替請求についてGSTを徴収する必要はありませんし、徴収してはなりません。
  5. 仮払GSTを還付請求するための証憑
    仮払GSTの還付請求は、自社を請求先として発行された正しいTax Invoiceまたは簡易Tax Invoice(例:小売店や飲食店の領収証)があることが前提です。同様に、シンガポールに輸入された商品の仮払GSTの還付請求には、自社を輸入者としてシンガポール税関により発行された輸入許可書が必要になります。これらの正しい証憑がない場合、仮払GSTを還付請求することはできません。
  6. 還付請求が認められない仮払GST
    以下のような支払いに発生した仮払GSTは、いかなる場合にも還付請求することができません。a. スポーツおよび余暇を目的とするクラブの会費(名義変更料を含む)
    b. 従業員の医療費および医療・傷害保険の保険料(労働災害補償法または労使関係法に規定される労使協定に基づき支払いが義務づけられているものを除く)
    c. 従業員の家族に関する福利厚生費用
    d. 乗用車に関する支払い(レンタカー、ガソリン、駐車場、保険等)
    e. 賭博、宝くじ等に関する取引

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.264(2014年09月01日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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