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会計・税務相談

2011年11月7日

Q.シンガポールで投資すると永住権が取得できる制度があると聞きました。制度の概要を教えてください。

投資家に対する永住権許可制度

シンガポール政府は、シンガポールへの移住を希望する投資家に対して永住権を許可するいくつかの制度を用意しています。その主なものとしては、「国際投資家制度」 (Global Investor Programme (GIP))や「金融投資家制度」(Financial Investor Scheme (FIS))が挙げられます。

 

GIPは、経済開発庁(EDB)が管轄する制度で、自らの起業や経営で培った知識や経験を生かしてシンガポールで新たな事業に投資しようとする人を対象にしています。

GIPでは、以下のいずれかに投資することが求められます。

 

オプションA:
シンガポールで新しく設立された会社の事業または既に設立されている会社の事業の拡大に250万Sドル以上を投資すること

 

オプションB:
GIPにより指定されたベンチャーキャピタルファンドに250万Sドル以上を投資すること

 

GIPに申請するには、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。

 

  1. 豊富な事業の実績があること
  2. 起業家であること
  3. 事業計画または投資計画を提出すること(オプションAに投資する場合)

 

自ら起業し、事業を経営している申請者は、具体的に以下のような要件を満たす必要があります。

 

  1. 最低3年以上の起業の実績があり、直近3会計年度の会社の監査済決算書を提出すること
  2. 当該会社の売上高は、直前の会計年度について年間3,000万Sドル以上であり、かつ直近3会計年度について年間平均3,000万Sドル以上であること

 

また、会社の経営者として雇われていて、シンガポールで事業(オプションA)に投資しようとする申請者は、以下のような要件を満たす必要があります。

 

  1. 最低10年以上の企業経営の経験があること
  2. 現在、会長、社長、CEO、CFO等の会社の要職に就いていること
  3. 現在の会社の売上高が年間1億Sドル以上であること
  4. 事業計画書にて提案されるシンガポールでの新規事業または既存事業の拡大において、経営に積極的に関与できること

 

一方、FISは、金融庁(MAS)が管轄する制度で、シンガポールの金融機関に資産の運用を委託しようとする人を対象にしています。

 

FISには、以下のような要件があります。

 

  1. 申請者は、最低2,000万Sドル以上の純個人資産を保有すること
  2. 上記個人資産のうち、最低1,000万Sドル以上について5年間以上にわたり金融資産(銀行預金、株式・債券等、投資信託、生命保険、その他投資商品)としてMASの許認可を受ける金融機関に運用を委託すること

 

ただし、全額を金融資産として運用委託せずに、最低800万Sドル以上を金融資産として運用委託し、200万Sドル以上をシンガポールの民間居住用不動産に投資することも可能です。

 

永住権は、配偶者および21歳未満の子供にも許可されます。ただし、子供が男の子の場合には、シンガポールで兵役に就く義務があります。両親、義理の両親および21歳以上の未婚の子供については永住権は認められませんが、5年間有効の長期滞在ビザを申請して同居することが可能です。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.200(2011年11月07日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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