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会計・税務相談

2008年2月18日

Q.シンガポールに新しくカタリストという証券市場が開設されたそうですが、どういうものか簡単に教えてください。

シンガポールの新証券市場カタリストとは?

カタリスト(Catalist)は、2007年12月17日にシンガポール証券取引所(SGX)に新しく開設された新興企業向け市場です。これまで、SGXが運営する主な市場には、大企業向け一部市場のメイン・ボード(Main Board)と新興企業向け二部市場のセスダック(SESDAQ)がありましたが、カタリストはセスダックに替わる新たな新興企業向け市場となります。

 

カタリストの最大の特徴は、上場希望会社又は上場会社がSGXに登録されたスポンサーと契約し、スポンサー付で上場する点にあります。スポンサーは、SGXに替わり上場会社の監督責任の一端を担い、上場審査や上場後の会社への継続的な支援及びアドバイスの提供を行います。これにより、投資家保護に配慮しながら、急速な成長が見込まれる新興企業に対して迅速かつ柔軟な資金調達手段の提供を可能にしています。このような制度は、1995年に開設されたロンドン証券取引所の代替投資市場(AIM)において既に導入されており、世界最大の新興企業向け市場として大きな成功を収めています。

 

スポンサーには、新規上場を目指す会社に対する上場申請活動の支援、及び既に上場済の会社に対する上場維持活動の支援の両方を提供するフル・スポンサー(Full Sponsor)と、上場維持活動の支援のみを提供する継続スポンサー(Continuing Sponsor)の2種類があります。2008年2月4日に発表された最初のスポンサー名簿には、フル・スポンサー10社、継続スポンサー6社の名前が掲載されました。

 

カタリストとセスダックの主な違いには、以下のようなものがあります。

 

 

セスダックに上場していた約160社(うち外国会社37社)は、2007年12月17日より自動的にカタリストに移行し、スポンサーなし(Non-sponsored)会社として上場しています。これらの会社は、最初にスポンサーが発表された2008年2月4日から2年間の猶予期間が与えられており、その間にスポンサーと契約しなければなりません。

 

カタリストの誕生は、中国やインドを始め急速な成長を遂げるアジア各国の新興企業により容易な資金調達手段を提供することにより、株式市場としてのシンガポールの魅力を高めると同時に、SGXやMASが担ってきた上場会社監督業務の一部を民間に委託することにより、シンガポールの金融産業の裾野の拡大にも一役買っています。アジアで初めての試みであるこの新市場は、日系企業にも新たな上場の機会を提供することになるでしょう。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.116(2008年02月18日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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