シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP情報共有の極意―(2)

嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2011年7月4日

情報共有の極意―(2)

先月に引き続き、今月は、情報共有の具体的な一例をご紹介します。

  1. 事例共有をどうしてする必要があるのか?共有をすることにどんな意義があるのか?共有がしっかりできたらどのような効果が期待できるのか?など、上司として情報共有をする目的を明確に伝える。
  2. 部下たちがそれぞれどのように理解をして何を感じたか確認をする。
  3. 情報共有をする意味・意義を理解しあえたら、毎日の部下の仕事の成果から成功事例だけを抽出し、あらかじめ用意してあるフォーマットへ当事者に記入させ、部員全員にメールで配信する。
  4. 翌朝までに部員全員に必ず事例研究をしておくように指示し、その事例から何を学び自分の仕事のどのようなところに、どう活かしていくかを数人に発表させる。
  5. 最後に情報提供者に事例の詳細を口頭で、本人自身も何を学び何を感じたかを発表してもらう。そして、その情報提供者をたっぷり承認・賞賛をして報いる。
  6. その事例を部門で保管し、いずれ全社で活用できるように準備しておく。
  7. 情報共有により、部門にどのような変化が生まれ、何が変わったか定期的に振り返りの時間を持つ。
  8. 更に部門の中で情報共有を加速させ、自らが情報を提供し、情報を得たいと思えるような文化を部門内に構築できるかを話し合い、仕組みを進化させていく。
  9. 情報共有の成功事例を全社での横展開を企画する。
  10. 全社で情報共有の文化構築が確認できたら初めてシステム化し、情報共有の効率を上げるとともに、全社で各部門の情報も共有できる仕組みを作る。

 

 

ここにはいくつかの仕掛けがあります。

  • 失敗事例は後回しにすることにより情報が出やすく、徹底しやすくなる。
  • 始めはホームページにアップするより、メール配信のほうが見る確率を上げられる。
  • いつ誰が発表することになるか分からないので、メールで配信された側は必ず目を通しておくようになる。
  • 賞賛、承認を繰り返すことにより、自分の事例を取り上げられることに対する優越感が出てくる。
  • 振り返りをし、改善を重ねていくことにより、情報共有することが全員の課題となる。それにより、情報共有の仕組みがより進化していく。

ポイントは、「情報を提供した人が報われること」、「上司自らが徹底をしてやり続けること」。要するに、すべては部下を持つ上司次第ということです(笑)。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.192(2011年07月04日発行)」に掲載されたものです。

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