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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2014年5月5日

これからの営業はサザエさん方式

先日ある上場企業の社長とお話をしたのですが、その会社は昔ながらの飛び込み営業やテレアポ営業で商品を販売している会社でした。しかし、私は「これから訪販は崩壊をする」とお話させていただき、これからの営業は「サザエさん営業だ」と説明しました。

 

 

あなたはサザエさんという漫画をご覧になったことがあると思います。その際、台所の勝手口から「ちわー、三河屋でーす。今日は何かありますか」なんて場面を覚えていますか?あのパターンの営業ということです。私はこれを「サザエさん営業」と呼んでいます。

 

 

要するに、「究極の御用聞き営業」を目指すということです。これは、マーケティングの話にもなってきますが、「お客様を集める」という発想から「集まる」という発想への転換が必要であるともいえます。

 

 

インターネットの普及によって情報がいとも簡単に手に入る世の中になり、お客様は下手な営業パーソンより知識を持つようになりました。また、日本も豊かになり、バブル崩壊後の失われた20年も乗り越え、ようやく経済も戻りつつある状況ですが、そういった時代背景もあって価値観も多様化し、お客様が業者(お店)を選んで商品を購入する意識が高まりました。そもそも、いきなり飛び込んできたり、電話をかけてきたりする訳の分からない業者から物を買おうと思うでしょうか。

 
昔は、そういった営業マンから仕入れる情報はありがたいものがありました。

しかし、今は違います。これからの時代は「使っている機械が壊れたので新しいものを買おうか……」「使っているものがだいぶ古くなったので新しいものに取り替えようか……」「最近流行っている○○が欲しいな」「○○の件でどこかの業者に聞いてみようか」など、お客様が困ったときに、いかにそのお客様の目の前に自社をちらつかせることができるかということがポイントになります。

 

 

そのために、常日頃から新規のお客様であろうが自社のお客様であろうが、何らかの手段を使って情報発信をし続けるなどのフォローをするマーケティング戦略が必要だと考えます。

 

 

お客様に何かあったときに皆様の会社名や担当営業がお客様の脳裏をかすめるようなお付き合いができた会社が、今後の生き残る営業会社だと私は考えています。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.256(2014年05月05日発行)」に掲載されたものです。

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