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ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2015年3月2日

リーダーシップ編〈第4回〉未来は変えられる(小事が大事)

あなたはハインリッヒの法則というものを知っていますか?これはアメリカの保険会社に勤めていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒという方が導き出した法則で、「重傷」以上の災害が1件あったら、その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こっており、更にその軽傷を伴う災害の背後には300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が起きていたという、「災害」について現れた数値「1:29:300」の法則です。

 

私には、この理論に例えてよくする話があります。それは、1つ大きな成功の裏側には29個の小さな成功が隠れており、その29個の小さな成功の裏側には、300個の更に小さな成功が隠れているということです。

 

人はいつの時代も「努力する」とか「苦労する」ということを嫌う傾向がありますが、この世の中の98%は凡人であり、その凡人が普通に生きていたら手に入れられないような成功を手に入れるには、努力や苦労が伴い、小さなことを積み重ねていくしかないということはあなたも理解されていることと思います。

 

今のあなたの人生のポジション(人格・能力・社会的地位・経済力など)を創ったのは何でしょうか?それは、今までどのような意思決定の元に、どのような行動を起こして、どのような成果を上げてきたのかという『過去』ですよね。では「10年後、20年後、あなたの人生のポジションは何によって創られるのか?」。これは「これから何をするか」という『未来』が作るのです。ですから、よく「過去は変えられない、でも未来は変えられる」といいますよね。

 

要するに、今のあなたの人生のポジションは、自分自身が過去に蒔いた種の結果、咲いた一輪の花であり、10年後、20年後にどんな花を咲かせるかは、これからあなたが蒔く種の質によって決まるのです。

 

私の好きな言葉で「確かな一歩の積み重ねでしか、遠くへはいけない」というものがあります。大リーグで活躍されているイチロー選手が年間200本安打を10年続ける偉業を成し遂げていますが、これも、日々の1本1本のヒットの積み重ねが年間200本になり、毎年200本の積み重ねが10年になっているのであって、ドラえもんのポケットからすぐに取り出して成し遂げられるような簡単なものではありません。

 

全ては小さなことの積み重ねの集積です。「塵も積もれば山となる」という古くから伝わる言葉も、昔の方々が生きてきた教訓だからこそ、今でもこれからも使われる名言として語り継がれていくのではないでしょうか。「千里の道も一歩から」という言葉もあるように、目の前の一歩一歩がゴールテープを切るために大切であることを分かってほしいと思います。

shimadzu嶋津 良智(しまづ よしのり)

一般社団法人日本リーダーズ学会代表理事、リーダーズアカデミー学長。2度の株式上場を経験、日本・シンガポールなどアジアを中心に経営コンサルとして活動。世界14都市でチャリティービジネスセミナーも開催。最強の部下を育成し、最強の組織を作ることで業績向上に寄与する独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書累計は100万部超。韓国・中国・台湾でも翻訳されている。

リーダーズアカデミーウェブサイト:www.leaders.ac

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.275(2015年03月02日発行)」に掲載されたものです。

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