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2015年6月1日

感性トレンド編〈第6回〉時代の先を見せてくれるモノと情報

先日、書店で婦人雑誌のコーナーに行った時、6月号の『VERY』が目にとまりました。雑誌の表紙は、ビッグシャツとハイウエストショートパンツの井川遥さん。「わ〜、時代が戻ってきた!」と私は思ったのです。
このファッションは、ボディコンを経験した40、50代の女性にとっては懐かしいスタイルですね。若い世代の方たちは、この表紙を見て素敵だと感じるのか?それとも、奇妙だと感じるのか?80年代初めは、ビッグサイズのシャツが流行っていたのですよ。
2000年を超えてから、私はビッグシャツやボディコンを着ている自分の写真を見つけたら燃やしたい、タンスに入っていたら速攻で捨てたいと思うほど、嫌いになっていました。1980年代は大好きだったはずなのに。
それがその表紙を見ても、「見たくもない」ほど嫌な気分にはなりませんでした。どうやら、時代がアナログ気分からデジタル気分に動き出したようです。
感性トレンドの周期では、今の時代の気分は1960年ごろのアナログ気分と同じ時期なのですが、デジタル気分が早めに現れてくる時期でもあります。

 

ではここで、感性トレンドを簡単におさらいしましょう。複雑なものに好感度の上がる時期をアナログ期、単純なものに好感度の上がる時期をデジタル期と呼んでいます。アナログ期は28年間、デジタル期も28年間。計56年間でひとつの周期となります。56年経つと、また私たちの気持ちが56年前に戻ってきて、それを繰り返すのです。

 

さて、今から2019年までのアナログ期の展開期に、どのような情報を取っていくのが良いのでしょうか?時代の先を予測するには、人の感性の変化を見ながら、多くの人が同じように反応するものを見るのがおすすめです。それは、流行ったファッションや食べ物、映画に音楽、車、そのほか、結婚式のスタイルなども入ります。
例えば車に興味があれば、各社の車を20年間、30年間とみていくと、この先どの方向に動いていくのかがみえてきます。感性トレンドを知っていると、新しく出てきた車のスタイルや自動車パーツが後に流行るものの前触れなのか、一部の人向けの流行とは違うものなのかがわかってきます。
あなたが今、あまり好きではないパーツが新しく出てきても、感性トレンドの時代の方向に合っていれば、数年後にはあなた自身がそのパーツを好きになっていることもあります。そして、それは周りの人たちにも起こり、流行になっていくのです。特に興味あるものがないな〜と思っている方には、身近で開催されている展覧会と映画をチェックすることをおすすめします。
東京の展覧会で例えると、「山口小夜子 未来を着る人」が6月28日まで、東京都現代美術館で開催されています。この展覧会では、1980年前後のメーキャップの傾向がわかります。シンガポールから足を運ぶのはなかなか難しいので、まずはインターネットで山口小夜子さんを検索。話題の物をチェックしてみましょう。
映画は『シンデレラ(Cinderella)』や、『ディオールと私(Dior and I)』も伝統と凛々しさが感じられて、今と今のちょっと先を感じられるでしょう。

 

tedzuka手塚 祐基(てづか ゆき)

株式会社感性リサーチ研究員、倉敷芸術科学大学芸術学部非常勤講師
21年間の腕時計デザイナーを経て、2006年より感性研究を開始。現在、ネーミングコンサルティングや企業向け講演活動を行う。筑波大学、工学院大学、東京大学大学院情報学環などのゲスト講師も務める。共著『人は語感でいい・悪いを決める』KAWADE夢文庫

ウェブサイト:ameblo.jp/tetsuka-kansei/

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.281(2015年06月01日発行)」に掲載されたものです。

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