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インドの今を知る

2011年8月11日

見た目も気にする中国、機能重視のインド人・他

見た目も気にする中国、機能重視のインド人

IT Proの記事「『大事なのは見た目より機能!』というインドのデジタル&家電事情」(2011年6月20付)は、海外ITライター、山谷剛史さんのコラム。広大な国土を持つインドでは、インターネット上のオンラインショップを利用するユーザーも多く、オンラインショップの品ぞろえは充実していて、店頭では見ることが少ないデジタル一眼レフカメラやスマートフォンも購入できるそうです。

圧倒的多数のインド人が使っていたスマートフォンは、iOSでもAndroidでもなく、Blackberryでした。使うデジタルガジェットを選ぶとき、“見栄え”という要素を重視する中国と異なり、インドでは実用主義で購入するモデルを選んでいるようです。Blackberryユーザーの多くが利用しているのは、FacebookにGmail、ニュース、そして、金融情報のチェックです。その一方で、中国でもユーザーがほとんどいなくなってきた、テキストメッセージだけを利用できるモノクロ画面の携帯電話もインドでは広く使われています。

インドの都市圏では、ある程度所得が高くなると郊外の高層団地でマイホームを購入する人が増えています。インドの不動産物件を扱うWebページを見ると、インド全土で販売されているマンションの多くが、中国のマンションによく似て、玄関を開けたらすぐに広いリビング+ダイニングがあり、そこにはソファとテレビがおいてあります。インドの新築マンションは、都市にある従来タイプの家に比べて広いので、大画面液晶テレビやプラズマテレビを設置するケースがほとんどと言います。

インドで人気の扇風機は「ルームクーラー」と呼ばれるエアコンの室外機のような形状で、この巨大な扇風機に水道管をつなぎ、ファンの下に水を貯めて、その水が蒸発して気化熱が奪われたあとの涼しい空気をファンで送っています。その仕組みを利用する「冷風扇」は日本でもごく普通に販売されていますが、インドのルームクーラーは、とにかく巨大です。扇風機に次いで売れるのがテレビ。インドでは、今でも小さなブラウン管を内蔵するテレビを売る店が主流ですが、32型以下の液晶テレビを扱う店も増えています。

ICICI銀行には、本体や関連企業でトップになった女性多数

ブルームバーグ2011年6月24日の記事「銀行界の男性支配に風穴、女性CEO時代に突入したインド金融の今様」によると、インドの民間金融機関最大手、ICICI銀行のチャンダ・コッチャル最高経営責任者(CEO、49)は、1996年頃、キャリアを危うく台無しにしそうになった時期があったそうです。当時、幼い息子の世話と家事に追われ、仕事をとてもこなせそうにないと悩んでいたとのこと。コッチャルCEOが幸運だったのは、ICICI銀行がキャリアの階段を上る女性があきらめないよう応援する企業だったことでした。

企業・個人向け融資や保険、投資銀行などの金融サービスを手掛けるICICI銀行は、インドの女性金融専門家のトップ14人のうち7人を輩出しています。ICICI銀行はCEOの人材供給基地の役割を果たしており、本体や関連企業でトップに上り詰めた多くの女性が、その後インドの他の事業体に移っています。女性に才能を発揮する機会を与える同行の伝統を発展させたのが、現在会長を務めるカマト氏(63)です。

1970年代のインドの経営者は、女性が男性と同等の能力を発揮できると信じる経営者と、秘書や速記者以上の仕事は考えられない人々の2つのタイプに分かれていました。ICICI銀行で2009年初めまで会長職にとどまったバフール氏は、性別を問題にすることはありませんでした。休職から戻った後、コッチャル氏は01〜06年にリテールバンキング(小口金融)部門の責任者を務めましたが、ICICI銀行はこの間に小口顧客向け融資を30倍以上に拡大させました。ICICI銀は自己資本比率が今年3月31日時点で19.5%と高く、有能でプロと呼ぶにふさわしい経営陣がそろっていると言われています。

コッチャル氏は、新世代の女性リーダーにとって良い刺激にもなっています。銀行への就職を目指し、将来は結婚もしたいという女性は、「コッチャル氏があれほどの大銀行を率いているのだから、銀行業界が男性に独占されていると考えたこともない。銀行への就職を希望する私にとって、コッチャル氏は励みになる」と話しています。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.194(2011年08月01日発行)」に掲載されたものです。

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