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インドの今を知る

2012年4月16日

日本メーカーは、インドでまだまだ認知不足・他

日本メーカーは、インドでまだまだ認知不足

家電ウォッチは2012年3月1日付の記事で「日本企業のインド家電市場参入には『プレミアム層』『中間層』が鍵」と日本電機工業会(JEMA)の国内メーカーによるインドの生活家電市場の調査結果を発表しています。そして、日本企業が取るべきスタンスについて指摘しています。

 

インドの家電市場は、中・上流層でライフスタイルの西洋化が進行していることで、エアコンを筆頭に急速に拡大。インド全体では家族経営の店を中心としたチャネル構造が大半を占めていますが、大都市では流通チャネルの近代化が進んでいます。インドでは主に家電利用者である妻(主婦)が決定権を握り、テレビCMや家族・知人の勧めでメーカーを絞り、店頭で販売員に説明を聞いて購入するというのが主流。また、広告からの“イメージ先行型”が約7割、インターネットや雑誌から情報を集めて店に行く“事前情報重視型”が約3割となっています。

 

日本メーカーの知名度については、韓国や米国メーカーよりも低く、また高付加価値製品に対する需要はあるものの、認知不足で必ずしも購入に至っていないということです。そこで日本企業が取るべきスタンスとして、2つの方向性を提案しています。

 

1つ目は「中上位機種が購入できる消費者階級『プレミアム・セグメント』をターゲットとし、規模を追い求めずに収益性を確保する」というもの。ブランド構築・販路拡大・価格競争力のある製品投入を同時に行い、店頭に販売支援員を配置、技術の先進性を示すキャッチフレーズを使った宣伝活動をします。2つ目は「中間層『ミドルリッチ・セグメント』をターゲットとして国民的なブランドをめざす」。プレミアム層から中間層向けまで製品ミックスの構築です。コスト低減と現地ニーズの把握のため生産・開発拠点の現地化を進め、高価な商品はブランド構築のための「見せる」商品とし、収益はミドル・アッパーミドルクラスの製品で上げるというものです。

 

 

インドが提案する、新しい車の姿

@IT MONOistは「インドが底力を発揮、燃費100キロメートルを実現した車が登場」(2012年3月7日付)の記事で、タタ自動車のコンセプトカーについて伝えています。15万円(10万ルピー)の安価なガソリン車「タタ・ナノTata Nano」で注目を集めたインド・タタ自動車。しかし、インドの自動車は安さだけなのでしょうか?

いや、どうやらそうではないようです。タタ自動車は100キロメートルという驚異的な燃費を実現するハイブリッド車を開発、取り回しの良さとあわせて、新しい車の姿を訴え始めています。

 

 

インド・タタ自動車は2012年3月6日、コンセプトカー「タタ メガピクセルTata Megapixel」を世界有数のモーターショーであるジュネーブモーターショーで公開しました。リチウムイオン2次電池を搭載する、レンジエクステンダータイプのハイブリッド車です。

燃料でエンジンを駆動し、エンジンが発電機を回して、モーターのみで走行します。燃費が良いため、燃料を1回給油するだけで900キロメートルの連続走行が可能だと言うことです。

 

タタ・メガピクセルの最小回転半径は、4輪に4つのインホイールモーターを埋め込んで独立に制御することで、2.8メートルを実現しました。また充電方式として、充電用ケーブルを使わない無線充電(非接触充電)を採用しています。例えば、自宅に設置した充電パッドの上に駐車することで、電磁誘導方式の無線充電を利用できます。このようにタタ・メガピクセルは単に燃費が良いというだけのハイブリッド乗用車ではないのです。

 

ご存知のとおり、インド・タタ自動車は世界でも最も安価な4人乗り乗用車の1つである「タタ・ナノ」を量産しています。このタタ・メガピクセルの登場によって、今後は、低価格だけではない車の価値を訴えていくことになります。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.210(2012年04月16日発行)」に掲載されたものです。

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