2026年9月10日
性犯罪者への「化学的去勢」も選択肢 シンガポール政府、効果確認なら検討
シンガポール政府は、性犯罪の抑止や再犯防止策として「化学的去勢(chemical castration)」の導入を検討する可能性があることを明らかにした。ただし現時点で導入を決定したわけではなく、犯罪率を下げる効果が明確に確認されることが条件としている。
K・シャンムガム内相兼国家安全保障調整相が9月8日、労働者党(WP)のジェラルド・ギアム議員からの国会質問に書面で回答した。ギアム氏は、子どもや若者に対する強姦や性的暴行などの増加を踏まえ、刑罰の見直しに加え、薬物によって男性ホルモンの作用を抑える「抗アンドロゲン療法」、いわゆる化学的去勢や性犯罪者登録制度を検討しているか質問した。
シャンムガム氏は、化学的去勢を含む追加措置について「犯罪率を下げる効果が明確であれば検討する用意がある」とする一方、これまでの研究では効果について決定的な証拠は得られていないと説明した。
シンガポールでは、14歳未満の未成年者に対する強姦や挿入を伴う性的暴行の場合、最低8年、最高20年の禁錮と最低12回のむち打ち刑が科される。また、14歳未満へのわいせつ行為も最高5年の禁錮、罰金、むち打ち刑の対象となる。
さらに今年7月31日には、重大な暴力・性犯罪を犯し、再犯リスクが高いと判断された犯罪者を対象とする「Sentence for Enhanced Public Protection(SEPP)」も導入された。裁判所が5~20年の最低拘禁期間を設定し、その後も公共への脅威がなくなったと判断されるまで釈放されない仕組みだ。
政府は性犯罪者への対策を強化する一方、化学的去勢については海外での実績や再犯防止効果などを慎重に見極める姿勢を示している。


