2026年6月2日
シンガポールの昇給率、2026年は鈍化予想 インフレと地政学リスクが影響
シンガポール企業の昇給率は2026年に鈍化する見通しであることが、人材コンサルティング会社や業界関係者の分析で明らかになった。インフレ圧力の継続や世界経済の不透明感、地政学的リスクの高まりが企業の人件費戦略に影響を与えている。
複数の調査によると、シンガポール企業の2026年の平均昇給率は2025年を下回る見込みである。企業は依然として人材確保を重視しているものの、景気減速懸念やコスト上昇を背景に、これまでのような大幅な賃上げには慎重な姿勢を示している。
特に製造業や輸出関連産業では、米中対立や中東情勢の緊張、世界的なサプライチェーンの不安定化が経営環境に影響を与えている。一方で、金融、テクノロジー、人工知能(AI)関連分野では引き続き人材需要が高く、比較的高い昇給率が維持される見通しである。
人材業界関係者は、企業が一律の給与引き上げよりも、成果やスキルに応じた選択的な報酬制度へ移行しつつあると指摘する。特にAIやデジタル分野の専門人材に対しては、依然として高い報酬水準が提示されている。
また、生活費上昇への対応として、基本給の引き上げだけでなく、一時金や柔軟な福利厚生制度を活用する企業も増えている。企業側は人件費の抑制と優秀な人材の確保という課題の両立を求められている状況である。
専門家は、2026年の雇用市場は引き続き堅調に推移するものの、昇給率については過去数年と比べて落ち着いた水準になる可能性が高いとみている。


