2026年5月29日
2025年のシンガポールの賃金上昇率が鈍化 2026年も穏やかな伸びにとどまる見通し
シンガポール人材省(MOM)が5月28日に発表した「賃金慣行報告書2025年版」によると、2025年のシンガポールの賃金上昇率は前年から鈍化したものの、プラス成長を維持した。2026年も引き続き穏やかな伸びにとどまると予測されている。
2025年の名目所得はマネジメント層(P50:5.0%)・低所得層(P20:4.6%)ともに増加したが、2024年(P50:5.8%、P20:7.1%)と比べて伸びは鈍化した。一方でインフレが落ち着いたことにより実質所得は力強い伸びを示し(P50:4.1%、P20:3.6%)、過去10年の平均を上回る水準となった。また低所得層と中間層の賃金格差を示すP20対P50比率は0.55に改善(2020年:0.52、2015年:0.51)し、所得格差の縮小傾向が続いている。
2024年の名目賃金は5.6%増(2023年は5.2%増)で、インフレ低下により実質賃金は3.2%増と2023年の0.4%増から大幅に回復した。ただし収益性には業種間で差があり、不動産サービス・建設・卸売業では収益を上げた企業の割合が減少した一方、製造業では改善が見られた。
2026年の見通しについては、マーサーの調査では平均4%の賃金上昇が予測されており、多くの業種で3.2〜4.5%の穏やかな伸びが見込まれている。地政学的リスクや貿易摩擦を背景に企業の業績見通しは慎重で、製造業・卸売業など貿易依存度の高いセクターを中心に賃金上昇ペースの一段の鈍化が予想される。

