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2005年6月20日

『パレード』吉田修一

photo-5昔、ドラマで主人公達が一つ屋根の下で共同生活をしているというシーンを見ては「共同生活って面白そう」と思いつつも、ずっと実家住まいで出来なかった。

そんな自分が本書『パレード』を読んだものだから、読んだ当初は「楽しそう」と思った。都内2LDKのマンションに同居する5人の若者を描いたこの作品、5人の登場人物達が相談したり、飲んだり、遊んだり、喧嘩したり、こんな付かず離れずな共同生活の様子からは居心地の良さ・楽しさが伝わってくる。実際のところ周りで見かけたことも無いような少し変な連中だが、5人それぞれのモノローグで進む物語には生活感が漂い、リアルに感じられるから不思議だ。

しかしこの楽しげな様子は最後の場面で急にひっくり返される。ネタばれになるので書かないが、解説の川上弘美が「怖い」と表現したこの展開を読んで、「何もそういう結末にしなくても」と何だか気持ち悪くなった。

必ずしもオススメという訳ではないのだけれど、他の人は読後どんな感想を持ったのかが気になってしまう1冊ではある。

 

幻冬舎文庫

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.049(2005年06月20日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール本店 古矢

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