2010年9月6日
『定本 育児の百科 上中下巻』松田道雄
初版は1967年。著者の松田道雄自身は、1908年生まれという。
医学の進歩から考えると、内容が古く感じる部分もあるかもしれない。
しかし、著者の小児科医としての豊富な経験からくる具体例は、時代背景は違えど、読み物としても面白く感じることができる。注釈に「長く読み継がれるべき古典として本書を岩波文庫に収録する」とあるが、現代でも十分に通用する内容である。
著者が示す解決方法は、どれもシンプルである。著者は常に、親を激励する立場を取っているようで、不安があっても、読めば必ず励まされた気分になる。「子は自然に育つもの」という基本姿勢もあるように感じる。
章ごとに、育児に際してのトラブルと解決方法が、事細かに載っている。上中下巻で1,500ページを超えるが、索引があるためとても便利である。小学校入学までを、詳細にカバーしている。
岩波書店/ISBN:9784003811139
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.174(2010年09月06日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家