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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2014年1月1日

『ふるさと銀河線』高田郁

photo-1 江戸時代を舞台に1人の女性料理人の成長を描く「みおつくし料理帖」が人気の高田郁さんですが、今回ご紹介するのは現代劇。漫画の原作者だった著者が過去に提供した「軌道春秋」というコミックを、今回新たに短編小説集に仕立て直したものです。

 名前の通り、物語には鉄道がでてきます。印象に残ったのは、「ムシヤシナイ」という短編。駅そばを営むおじいちゃんに、ひさしく会えなかった孫が訪ねてくる話です。やさしい関西言葉と、おじいちゃんの気遣いが心に響きます。題名になっている「ふるさと銀河線」、本当に北海道にある路線なのですが、その駅のひとつ、陸別が舞台になっている物語が2編。寒い冬の澄んだ空気と星空、景色の描写はさすがのひと言。陸別にきっと行きたくなるはずです。また、実際に作ってから書かれている料理の数々は、胃がきゅっとなるくらいおいしそうです。

 全体に冬の話が多く、今が読み時、旬の本です。日本を思い出しながら、年末年始のお休みにいかがでしょうか。

 

双葉社/ISBN:9784575516302

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.249(2014年01月01日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 河合

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