シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『見えない都市』イタロ・カルヴィ-ノ著、米川良夫訳

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2017年4月25日

『見えない都市』イタロ・カルヴィ-ノ著、米川良夫訳

321web_Cover読んでいてひしひしと知性を感じる本があります。20世紀のイタリア人作家、イタロ・カルヴィーノによるこの幻想小説がまさにそれです。物語は『東方見聞録』で知られるマルコ・ポーロが、モンゴルの皇帝・フビライにこれまで見てきたという都市の姿を語る形で進みます。この架空の都市の描写が非常に巧みで、いずれも珍妙なのに不思議な説得力があります。
「マルコ・ポーロが今のシンガポールを見たら、フビライにどう伝えたのだろう?」という好奇心を抑えられませんでした。映像が雄弁な昨今において、語られる言葉に想像を巡らせることの楽しさを存分に味わえる本です。

河出書房新社
ISBN:9784309462295

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.321(2017年5月1日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 大木

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