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ビジネス人事・雇用相談室

2019年9月25日

人材の定着に向けて

〜関係の質の向上を起点とした会社経営

  私は現在 Reeracoen グループのシンガポール法人、フィリピン法人、インド法人の責任者を兼任しており、3ヵ国で 100 名強の従業員とともに働いております。人材サービス会社として、一人ひとりの従業員こそが、我々のサービスの差別化だと考えています。より良いサービスを届けていくためにも、従業員を定着させ、それぞれの習熟度をあげて、成長に繋げていくことが不可欠です。まだまだ若輩者ですが、弊社の取り組みを共有させて頂くことで、少しでも参考になることがあれば幸いです。
 

全ての起点は関係の質から始まる


 “組織の成功循環モデル”という考え方はご存知でしょうか。
 図のように、関係の質が思考の質に影響し、思考が行動に影響し、行動が結果に影響するという考え方です。
 関係の質、すなわち「人」と「人」の関係性の質。職場で考えれば、経営陣と従業員、従業員同士の関係性を密にしていくという考え方です。
 当たり前の考え方ですが、マネジメントをしていく立場として、日々忙しい中で結果も求められると、どうしてもトップダウン型で従業員の行動や思考に対しての改善要求になりがちです。結果が出ているうちは良いですが、仮に良い結果に繋がらず、会社の業績は上がらず、従業員は離職…。まさに負の循環です。
 またトップダウン型の組織では、上司と部下の関係に恐怖と委縮が生じて、都合の悪いことが報告されなくなる傾向にあります。よって経営上、大切な意思決定をするための情報も上がって来ず、打ち手が遅れてしまう。こちらも負の循環です。
 お恥ずかしながら、弊社はこの負の循環を何度か繰り返してしまっていました。組織として、関係の質の向上を意識して、運営をするようになってからは、従業員の離職が減り、社内で意見が通りやすくなり、業務の遂行度も上がり、結果も段々と伴ってくるようになりました。
 

関係の質を向上させるためのステップ1

〜一人ひとりの人物タイプを理解する〜
 図のような”ソーシャルスタイル理論”の考え方に基づいて、まずは一人ひとりのスタイルを理解すること。その上で、私は自分のスタイルではなく、相手のスタイルに合わせたコミュニケーションを取っていくことを心がけています。
 仕事においてのアドバイス、フィードバック、普段の何気ない一言においても、まずは意識をして、実践していくことが大切だと考えています。思うように実践できなかったとしても、その積み重ねが相手にとって’’自分の事を理解してくれているな!’’の安心感に繋がります。
 
※ソーシャルスタイル理論とは、1968年にアメリカの社会学者であるDavidMerrillが提唱したコミュニケーション理論です。日本でも営業やマネジメントの際に、頻繁に用いられる考え方の一つです。
 

関係の質を向上させるためのステップ2

〜1 on 1 ミーティング〜
 関係の質を向上させるために、私が最も重視していることは、1 on 1ミーティング(対面での1対1の面談)です。ベストな頻度は月に1回(無理なら隔月1回)、時間は1人当たり15〜30分程度で、全従業員と実施しています。
 話すテーマは自由で、業務やキャリアの話、プライペートな話、愚痴が溜まっているメンバーのガス抜き、困っていることや悩んでいることにアドバイスをしたり、1対1で向き合う時間にしています。
 また、この1 on 1ミーティングをより有意義な時間にするために、私は3つのルールを設定しています。
 
◇ Open Mind(本音で話そう!)
お互いに建前ではなく、本音で思っていることを話しましょう。
◇ Confidential(他言は禁止!)
話した内容はお互いに他言はしない。私も他の経営陣やマネージャー、関係者に他言をすることはありません。
◇ Not Evaluate(評価しない!)
このミーティングでの発言によって、その従業員の人格や能力を評価することはない。
 
 上記ルールを用いることで、面談時に、より「人」と「人」としてのコミュニケーションが取れるようになったと実感しています。
 ぜひ人材採用、その他人材に関するお悩みがございましたら、お気軽に弊社にお問い合わせ下さい!

著者プロフィール
Reeracoen Singapore Pte. Ltd.
副島 康介(そえじま こうすけ)
Regional General Manager

大学卒業後、新卒で大手人材サービス会社に入社し、営業とマネジメントを経験。2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。2016年1月にシンガポール拠点に異動し、17年より同拠点の責任者に就任。19年よりシンガポール、フィリピン、インド、3ヵ国の管掌マネージャーとして会社経営に携わっている。

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