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社説「島伝い」

2014年3月3日

例外ケースへの対応

トップニュースにもあるようにシンガポールではこのところ降水不足が続いています。今年は例年より乾季の始まりがかなり早かったためか、暑さがひときわ厳しく感じられます。

 
東京で高層ビルの建設や道路のアスファルト化など都市開発が急速に進んだ結果ヒートアイランド現象を招いたように、地上の人工的な変化は気象にも少なからず影響を与えます。シンガポールも発展するにつれて緑地が少なくなっており、近年政府は屋上や壁面に緑を配した環境配慮型のビル建設などを奨励し、支援しています。

 
先月はまた日本各地で記録的な大雪に見舞われ、都心でも約30センチの積雪を記録しました。雪で主要道路が寸断され、1週間以上孤立してしまった地域もあります。イギリス南部では過去250年で最も降水量の多い冬となり各地で洪水が発生、テムズ川が氾濫するなど深刻な被害が出ています。年初から2月中旬までに世界各地で異常気象現象が相次いで発生し、電力供給や公共交通機関の混乱を招いていますが、国連の専門機関である世界気象機関(WMO)は、これらの現象には関連性があると見て間違いないとの見方を示しました。

 
地球規模での温暖化の進行は統計などにも表れており、そのことを知らない人はほとんどいません。しかし、今回各地で起きているような自然災害は「いつもとは異なることがたまたま起きてしまった」と捉えがちのようです。もちろん、また起きることは誰も望みませんが、起きないとも限りません。

 
あらゆる不測の事態に備えることは到底不可能ですが、それでも我々にできることがあります。今回と同様の事態が発生した時に、被害を最小限に抑えるために何ができるか、被害に遭った時にどう行動するかを考えること、つまり教訓を得ることです。国や自治体レベルではもちろん、個人でも必要なことで、自分たちなりにできることを確立しておくことで、例外的な状況下でも適切な判断を下し、冷静に対処することがより可能になります。これは、日頃のビジネスにおいてもまた言えることでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.252(2014年03月03日発行)」に掲載されたものです。

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