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表紙の人

Vol.350

2019年9月25日

吉野 賢哉 さん

マネジャー、講師

 神奈川県出身。父の仕事の関係で3歳から異郷の地で過ごした。パキスタン、旧西ドイツ、タンザニア、台湾…。新しい環境に慣れた頃、次の地へと向かう生活を繰り返す生粋の “サードカルチャーキッド”。「常識」が国によってなぜ大きく異なるのかを考えながら育った。そんな背景から「日本人としてのアイデンティティを確認」すべく18歳で日本へ帰国。国際基督教大学社会科学科、同大学院の行政学修士を修了後、JICA (国際協力機構)へ就職した。

 

 保健医療分野のプロジェクトに携わる出張で訪れたアンゴラ。維持管理されず穴だらけとなった10年以上前の日本の国際平和協力業務で作られた道路について「日本の援助はだめだ」と言う現地の人々に遭遇する。その後スリランカで、妊産婦死亡率や乳児死亡率が大幅に改善した病院があるというので見に行くと、機材は丁寧に維持管理され、職員のモチベーションも高かった。何をしたのかJICA派遣の専門家に聞くと「5S運動(整理・整頓・躾・清掃・清潔)ですよ」という。目から鱗だった。「いくら港や病院や道路を作っても、壊れたらそのまま放置される。現地の発展と日本の国益の為に良かれと思ってしたことが、逆に日本のブランドを棄損しているという事実。人の考え方と行動が変わらないと。人材育成こそが国の発展につながるはず」との想いに行き着き、人材育成を専門とすべく、JICAを退職。人材コンサルティング会社での人材アセスメント業務を経て、2007年にグロービスへ参画する。

 

 2018年4月の来星早々、イベントに来ていた地元の人に「もう日本じゃない、これからは中国」と言われ、兜の緒を締めなおす。この国のビジネス文化を「ロジカルでオープン。スピードもあり、常に前を向いてる」といい「メディアと一体となって人々のパーセプションを作る世論形成力もすごい」と評価する。

 

 趣味は史跡巡り。「千里の道も一歩から」。動かないと始まらない。一歩ずつでも動けば何かができる。実直な物言い、朴訥ながら穏やかな語り口で説く「志」の大切さ。真のグローバル化がいかなるかを垣間見た気がした。

 

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