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インドの今を知る

2011年10月3日

中国とインドが抱える領土紛争と水の問題・他

中国とインドが抱える領土紛争と水の問題

日経BPの記事「米国、中国、インドの“三角関係”を読む」(2011年8月23日付)は、ワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表:豊島逸夫さんのコラム。GDP世界第1位の米国と、昨年GDPベースで日本を抜いて世界第2位になった中国との関係は、筆者の見るところ“仮面夫婦”で、そこにひそかにやきもちを焼くのがインド、という三角関係のようです。中国も時折、米印が仲良く振舞うのを見せつけられると内心穏やかではありません。

中国は対米輸出でため込んだ巨額の資金で大量の米国債を購入しており、ドルの信認が低下し、外為市場でドルが減価することで一番の不利益をこうむるのは中国自身です。しかし、米国から見れば、中国に妻の座にどっかり居座られても困ります。そこで中国の隣人、インドにわざと親しげに近づき、中国にあてつけているのです。インドから見れば、かねてから中国のインド封じ込め作戦を脅威に感じていたため、この役は願ったり叶ったりです。

既にChinaとIndiaの造語でChindia(チンディア)という言葉が普及していて、製造業の中国とIT産業のインドは経済的にも補完関係にあります。しかしこの中印2ヵ国間には、互いに絶対譲れない領土紛争の問題が厳然と存在します。カシミール地域はもとより、タワングというチベット仏教の聖地は、1962年の中印国境紛争の一因にもなった場所で、チベット少数民族問題に手を焼く中国政府にとって目の上のたんこぶになっています。
また、水の問題もあります。北インド地域を潤すいくつかの大河はチベットが源流ですが、そこに中国は巨大なダムを建設して中国側の農地への水流誘導を図っています。

この中印の愛憎のもつれを巧みに利用してアジアの微妙なバランス・オブ・パワー維持を図っているのが米国と言う関係です。事実、インド包囲網を敷く中国に対して、米国は日本、韓国、台湾、東南アジア諸国(ベトナム、インドネシアなど)と緊密な連携を取り、中国包囲網を築いてきました。
日本が国内政権問題で内輪もめしているうちに、ハッと気がついたら周りを完全包囲されていたなどということにならないようにしなければなりません。

インドでソーラーバイクは、可能性あり

SankeiBizの2011年8月23日付記事「インド 燃料高…ソーラーバイクに脚光」によると、「経済成長に伴い二輪車市場が拡大するインドで、太陽光パネルを搭載した電動の『ソーラーバイク』がお目見えし、ガソリン価格の高騰に悩む庶民の間で話題となっている。家庭用電源から充電するバッテリーも搭載し、最長約250キロの連続走行が可能。二酸化炭素(CO2)排出削減による地球温暖化対策にもつながると期待され、地元政府や企業も注目している」とのこと。
これは、インド西部マハラシュトラ州プネ近郊で電子部品製造業を営むアユブカーン・パターンさん(44)と、おいのイムランカーンさん(24)が開発したものです。

20年ほど前に太陽光発電に着目したパターンさんは、自宅屋根に設置した太陽光パネルで自宅の全電力を賄うなど、研究を重ねてきました。ソーラーバイクは構想から約3年で完成。既存のスクーターを改造し、車体前面に4枚の太陽光パネルを据えています。
太陽光パネルの輸入価格下落で、改造費用は2万7,000ルピー(約4万5,000円)ほどで済みました。大量に注文が入れば1万6,000ルピー程度まで下げられる見通しです。

インドの法律では、ガソリンエンジンがなく、時速50キロ以下で走るソーラーバイクは運転免許が不要なほか、車体にかかる税金が免除される恩典もあります。
パターンさんの元には「話を聞きたい」と州政府関係者や取引を求める企業からの連絡が相次いでいます。

パターンさんは「走行速度を上げて、将来は太陽光で動くオートリキシャ(自動三輪タクシー)や自動車も開発し、インドの産業に革命を起こしたい」と意気込んでいます。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.198(2011年10月03日発行)」に掲載されたものです。

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