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スペシャルインタビュー

2019年7月25日

丞 威(ジョーイ)アクション俳優として世界一を目指す

 世界のひのき舞台へ挑戦すべく、日本を飛び出した才能あふれる若者がいる。
 今、日本を代表するアクション俳優、丞威(ジョーイ)だ。才能ほとばしるキレッキレの動きで、ダンサーとしても異彩な魅力を放つ彼が、2019年末に公開予定のドニー・イエン主演の最新作『肥龍過江 Enter The Fat Dragon』に出演する。また 7 月中旬にはインドネシアで TOYOTA の CM も公開予定と、アジアで精力的に活躍の場を広げつつある。日本人としての熱き信念を抱き、今年でデビュー19周年を迎えたこの若き挑戦者をご紹介しよう。

 

 
―6歳で子役デビューし、その後、アクション俳優の道を選ばれた道のりについて
お話をお聞かせください。

 

 ダンススクールをやっていた両親の影響もあって、物心ついた時には既に子役として芸能活動を始めていました。ロサンゼルスでは子役の場合、ダンスと歌とお芝居、全部をやってみてその中で一番得意な分野を極めていくという形が多いんですが、僕の場合はそれがダンスでした。才能の溢れるある人たちに囲まれ、大いに影響を受けて、楽しいという感覚だけでやってきた。そんな風にジャニーズで活動していたのが10~12歳の頃で本当にいろいろ経験させてもらいました。ただ、いつも世界で自由に活動したいと考えていた。それでアメリカに戻ろうと思った矢先にたまたま受けたオーディションで評価されて、2016年に石原プロに入ったんです。裕次郎さんは海外進出を真剣に考えられた方でもあった。ここだったら僕の夢が叶うかもしれないと思ったんです。その覚悟がお芝居にも出たようで、見てくださった方たちからいい顔になってきた、と言われるようになった。セリフの言い方とかテクニックというより、人としての成長。これが一番お芝居に影響する。僕も気づかないうちにそういうのが芽生えていたのかもしれないです。骨をうずめる覚悟で頑張ったんですが、日本の(芸能界の)考え方や感覚を学んでいく上で、個人でやっていくという結果にたどり着きました。

 
―ほかの仕事に就こうと思ったことは?
 

 16歳で日本に来て、これからどうしようと考えた時、ダンスを仕事にしたくないと気付きました。ダンスは僕にとって呼吸に近いもの。自分のダンスをできる時が一番のリラックス。仕事にしたら息苦しくなってしまうかもしれない……。じゃ、何がしたいと考えたら、映画が好きで、「デ・ニーロ」がすごく好きで。素晴らしいお芝居はもちろん、みんなにこれだけ感動や夢を与えられるんだと強く憧れた。僕もそういうことをやりたいと思い、役者を始めました。芸能界以外の仕事を考えたことはないですね。逆にこれしかできないと思うんで。

 
―日本に来てギャップを感じたりしたことはありますか?
 

 ものすごくありましたね。これまでダンスを自然体でやれる環境にいたから、ストリートパフォーマンスとか友達とふざけてレストランで踊るとか、日本ではできないというか、白い目で見られるので……。年に一度、おじいちゃんおばあちゃんに会いに帰ってきていたので日本の良さも当然知っているんだけれど。

 
―今回、シンガポールに来られた理由は?
 

 東南アジアが爆発する前に一回見に来ないと、と思ったのが理由ですね。シンガポールやインドネシア、ベトナムも見てると平均年齢が若くて、活気がすごくある。成長のスピードがものすごいですよね。
 
 今、ドニー・イェン(主演『イップ・マン』シリーズや『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に出演)という有名なアクション俳優のもとで、香港や中国で映画をやらせていただいています。その中で、どれだけ日本が外を見ていないのかという、危機感をすごく感じたんですね。(日本人は)日本で成功すればいいという傾向というか。僕は、海外のことをもっとたくさん勉強していろんな国の芸能界を経験して、それで日本に帰ってきたい。
 
―来てみて、印象はいかがですか?
 

 熱いですね!あと湿気がすごい。早速モールへ行ったんですけど、輸入モノが多い。シンガポールは外しか向いてないんだなという感じがすごくいいなと思いました。でも逆にどうやって芸能のお仕事していけばいいのかなと……。海外で有名になってそれで逆輸入してもらえばいいのかな。僕は(シンガポール)好きですね。あとファストフードとかドーナツ屋さんとか、ロサンゼルスで食べてた物がたくさんシンガポールにあったんです!あ、これもあるんだ!と思って、すごいノスタルジックに感じた。かといってすぐそこに伊勢丹もあるし。すごい不思議な感覚でした。僕が育ってきた環境が全部ごちゃごちゃに混ざっている国。すごい親近感を感じます。

 
―人生を左右するようなエピソードはありますか。
 
 『孤狼の血』という役所広司さん主演の映画で出番は少なかったんですけれど、エチュード(即興劇)で役所広司さんにボッコボコにされるシーンがあったんです。カットかかった瞬間の役所さんの笑顔が今でも忘れられない。満面の笑顔で僕に手を差し伸べてくれて「楽しいねえ」というんです。あの瞬間、もっと頑張ろう、と思った。台本を読んで、この言葉をどう言おうかとか、何回も何回もかまないように練習して録音して聞き直して、どう表現しようかな、とかそういう頑張りじゃない。もっと周りのことをすべて忘れて役になりきる瞬間を作れる俳優さんになろう、と。役所さんは「その瞬間」を作れる人。そして僕は、その瞬間に没頭させてもらった。その化学反応に気付くことができた。人と人との愛情であったり、怒りだったりとすべての感情を感じられるのが役者の特権でもあるんですが、恐怖さえも楽しい現場ってすごい。それを教えてくださったのが役所さんです。
 
―どんな俳優になりたいですか?
 
 日本人のアクション俳優として世界に認められたいです。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リーがたどり着いた境地に、僕も行きたい。今だったら行けるような気もする。そこに行くためには心身ともに磨いてたくさん勉強しないと。ただ海外に出て、ハリウッドの映画に出てよかったね、で終わりたくない。ハリウッドで一番の俳優と言われるようになりたい。日本人がハリウッド映画で主演を張って、アクション映画をできる時代になってきたと思うんです。身体能力には自信がある。今自分が持てる武器は全部使って、今、バチバチで動ける自分を見てほしい。もちろん、アクションだけに限らず、どんな役でも一生懸命やっていきたいと思っています。
 
―アクション俳優への道は、武道家だったご祖父の影響もありますか?
 
 祖父は武士でした。佐賀の出身です。鍋島藩に仕えてた武士たちが学んでいた『葉隠』の中に『葉隠四誓願』というのがあって、それが別府の実家に飾ってあるんです。祖父の家に遊びに行くと、朝早くに毎日たたき起こされ、「ひとおーつ、武士道とは……」って、毎朝大声で斉唱させられました。日本人としてのアイデンティティーがあるのは祖父のおかげですね。日本人とは武士とはこういうことだ、と徹底的に叩き込まれました。
 
―今、夢中になっていることは。
 
 なんか、無駄に推理をしようとしています(笑)。シャーロック・ホームズが大好きで、今、読んでるんですけど。街中歩いてる人の歩き方を見て、この人はこういうスポーツやっているのかな、とか一人で想像しています。

 

プロフィール
 
丞 威(ジョーイ)

 
1994年6月5日、大分県別府市生まれ。親の仕事の関係により生後3カ月で渡米、少年時代の大半をアメリカ・ロサンゼルスで過ごす。幼いころから芸能活動を開始。ダンスを主に、子役としてアーティストのミュージックビデオやファッションショーに出演。16歳の時に日本に拠点を移し、今はアクション俳優として映画を主に活動している。

聞き手:内藤剛志/編集:野本寿子

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