顧客、商品、そして人材の育成を第一に考えています

“THINK GLOBAL, ACT LOCAL”
小林陽太郎会長の提唱する富士ゼロックスの理念は、「国際的な視野を持ちつつ、地域に合わせて行動する」。

 
富士ゼロックス アジアパシフィックは、先ごろ社名を冠する堂々たる富士ゼロックス・タワーズに移転したが、このタワーの一階と中二階に、新しく「エピセンター」を今年オープン予定。このエピセンターは、ショールームであるだけではなく、顧客のニーズを満たす為、ソフトウェア会社や顧客自身も参加したソリューション開発の場と位置づけている。
富士ゼロックスの提唱するオープンオフィス・フロンテイア・コンセプト、すなわち「定型でなく自由で各々の機能や機器が互換性を持つ等、あらゆる意味でバリアのないオフィスを実現することが目標」と、富士ゼロックス アジアパシフィックの社長兼最高経営責任者、川井巌氏は言う。

 
川井氏の初めての海外駐在経験は1977年より3年勤務したアメリカ。その後、1991年から1996年末までシンガポールに駐在後、2002年、現職に就任。今回2度目のシンガポール赴任となった。
入社してすぐ、陸軍参謀だった当時の上司から、「いじめに近い」スパルタ式トレーニングを受けた。ただ、仕事のできる人でもあった。「きちっと筋を通す人。信頼を得るのは大変だが、一旦信用されると徹底的にサポートしてくれる。」

 
月に200時間の残業はざら。後の夫人とは、年に数回デートできるかどうか、といった状態だったが、川井氏は商品企画にのめりこんだ。こうやって30歳までの下積み時代に鍛えられ、がんばることの楽しさを知った。それがビジネスマンとしての川井氏の礎（いしずえ）だ。入社以来、企画畑を歩いてきたが、現会長の小林氏が社長時代に秘書を勤めたこともある。小林社長（当時）は、トップでありながら周囲への気配りがすごい。人への感謝を忘れない。何事にも謙虚で、よく気がつき自ら実行する。「非常に影響を受けました」と川井氏は言う。
「人材と顧客が一番大事」という川井氏。さすが、他者とコミュニケーションを図ることに余念がない。

 
生来のエンターテイナー気質で、誰でも理解できる一発芸グッズを何種類か常に携帯。「相手がすぐ打ち解けてくれ、自分のことを覚えてくれるのが利点」ということらしい。「特に言葉の通じにくいアジアでは…」

 
川井氏は元来、積極的なコミュニケーションを心がけるタイプ。その上、頭の回転が速く、上司から可愛がられ、部下から慕われてきたに違いない。
富士ゼロックス アジアパシフィックはあくまで、地域13カ国の各々の営業活動の最大化を支援するのが目的の組織。統括する地域をまとめ、地域共通の間接部門を統合することで組織のスリム化・効率化を図り、余力を直接部門の営業とサービスに振り向け強化する事が当面の課題だ。

 
単身で多忙のため、今回の赴任では、前回のシンガポール赴任中にめぐり合った愛犬を泣く泣く日本に置いてきた。現在愛犬はご子息の家族と暮らしている。帰国のたびに家族に会いに行くが、「正直いって、誰より犬が一番かわいい」というほどの寵愛ぶり。日本で愛犬と暮らしていた頃、散歩が1日4時間というのも希でなかったという。ヨークシャーテリアにとっては、スパルタ教育であるが、おかげで12歳になる今も、獣医が太鼓判を押すほど足腰が強く健康だという。

 
ひげが似合うダンディな川井氏は、笑顔を常に絶やさない、それだけにビジネスではタフそうだ。「弊社の強みはピープル＆プロダクトです」と川井氏。その言葉通り、全社的に総売上の5％を人材教育にかけ、育成に余念がない。「ただモノを売るだけではなく、お客様のメリットを考えて提案する、という姿勢を教えるのが大事ですね」。

 
オフィス機器分野では他の追随を許さない富士ゼロックス。今後も最新テクノロジーを活用し、オフィス内はもちろん、オフィス間、また会社間のバリアまでをもなくす画期的な商品を展開していく予定である。