2026年10月15日
マレーシア、ヘイズによる経済損失は最大1日5,000万リンギ
マレーシアで深刻化するヘイズ(煙害)による経済損失が、1日当たり2,000万~5,000万リンギに上るとの試算が明らかになった。観光業や航空業、農業への影響に加え、医療費の増加や労働生産性の低下が経済活動を圧迫している。
サンウェイ大学の経済学者イェー・キムレン教授は、今回の試算は控えめな数字であり、実際の経済損失は月間6億~15億リンギに達する可能性があると指摘した。
特に影響が大きいのは観光業と航空業で、大気汚染によって観光客数が最大8%減少し、国内総生産(GDP)に最大15億リンギの損失をもたらす可能性があるという。
農業分野でも被害が広がっている。ジョホール州の野菜農家では生産量が減少し、果物の収穫量が半減した事例も報告されている。パーム油産業への影響は6~12ヵ月後に現れる可能性がある。
また、視界不良による物流の遅延や建設工事の停滞、学校閉鎖、従業員の病欠なども経済損失につながっている。小売業の営業活動や太陽光発電にも影響が及んでいるという。
医療費の負担も無視できない。マレーシア・イスラム科学大学のモハド・ハフィズ・ジャーファル准教授によると、ヘイズに関連する呼吸器疾患の医療費は1997年の約2,100万リンギから、2013年には約4億1,000万リンギに増加した。
さらに、心血管疾患への影響や欠勤、労働効率の低下などを含めれば、実際の経済負担は一段と大きくなる可能性がある。
専門家は、ヘイズ発生時の早期警報体制や健康対策の強化に加え、煙害の主な発生源となるインドネシアとの協力が不可欠だと指摘。森林火災の予防に向けた資金援助や技術支援、監視体制の強化を求めている。
ヘイズは健康問題にとどまらず、東南アジア全体の経済活動に影響を及ぼす課題となっている。

