2026年9月17日
東南アジア主要6ヵ国、2035年まで年平均4.8%成長へ ベトナムが6.2%で首位
東南アジア主要6ヵ国の経済は、世界的な地政学リスクや保護主義の高まりが続く中でも、今後10年間に年平均4.8%の成長を維持する見通しである。
DBS Bank、Bain & Company、Vriens & Partnersが9月16日に発表した「Southeast Asia Outlook 2026–2035」によるもので、対象はシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの6ヵ国(SEA-6)。
2026~2035年の実質GDP成長率予測では、ベトナムが年平均6.2%で最も高く、フィリピン5.8%、インドネシア5.4%、マレーシア4.3%、シンガポール2.7%、タイ2.2%と続く。
SEA-6は2024~2025年に平均5.1%の成長を記録した。米中対立の激化や保護主義、テクノロジーを巡る環境変化が進む中でも底堅い成長を維持した。
今後については、海外直接投資(FDI)の継続、工業化やインフラ整備、テクノロジー導入による生産性向上などが成長を支えると予測している。2025年にはSEA-6への純FDI流入額が前年比25%増加した一方、中国への流入額は34%減少しており、世界的なサプライチェーン再編が東南アジアへの投資を後押ししている。
マレーシアは半導体、データセンター、AI関連投資が成長を支えるとみられ、今後10年間の平均成長率を4.3%と予測。良好な外部環境では、シンガポール、ベトナムとともに成長の上振れ余地が比較的大きい国として評価された。一方、高度人材の不足や半導体産業の高付加価値化などが課題として挙げられている。
シンガポールは人口構造や労働力の制約から成長率は2.7%と予測されるものの、金融市場の厚みや財政余力、政治・制度面の安定性を背景に、SEA-6で最も経済的な耐性が高いと評価された。
また、2025年にSEA-6へ流入したFDIの64.3%に当たる約US$1,510億をシンガポールが受け入れており、同国はマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムへの主要な投資元にもなっている。地域に投資資金をつなぐ金融・ビジネスハブとしての役割が一段と強まっている。
報告書は今後の成長に向けた重要課題として、「制度・ガバナンスの強化」「安定したエネルギー供給体制の構築」「AIによる生産性向上」の3点を挙げた。
世界のサプライチェーン再編が続く中、東南アジアが製造拠点としてだけでなく、投資・消費・デジタル産業を含む成長市場として存在感をさらに高められるかが注目される。

