2026年8月25日
シンガポール人は「国内で多数派を維持」 外国人労働者数も慎重に管理
ローレンス・ウォン首相は8月23日のナショナルデー・ラリー(施政方針演説)で、シンガポールが今後も移民や外国人材を受け入れる一方、シンガポール人が国内で多数派であり続けるよう、外国人労働者の規模を慎重に管理していく方針を示した。少子高齢化が進む中、経済の開放性を維持しながら、国民のアイデンティティーや社会的一体性を守る考えを強調した。
ウォン首相は、政府が家族支援策を拡充しても、合計特殊出生率は人口置換水準を大きく下回る可能性が高いと指摘。出生だけに頼ればシンガポール人の人口は縮小していくため、持続可能な人口を維持するには一定の移民受け入れが必要だと説明した。
その上で、新たな市民についてはシンガポールの理念や価値観を受け入れる人々を、適切かつ持続可能なペースで迎えるとした。同時に外国人労働者についても、人数を「慎重かつ管理された方法」で調整し、急激な増加を避ける方針を示した。今後、シンガポールの人口と労働力の伸びはこれまでより緩やかになる見通しである。
ウォン首相はまた、現在の民族構成についても大きく変えない方針を示した。中国系、マレー系、インド系をはじめとする各コミュニティーが、それぞれの言語や文化、伝統を維持しながら共存する多民族・多宗教国家としての特徴を守っていくとした。
移民と地元住民の融合については、双方の努力が必要だと強調。新しくシンガポール社会に加わる人々には、国の価値観や社会規範を理解し、地域社会に溶け込む姿勢を求める一方、シンガポール人にも新たな市民を受け入れる姿勢が必要だとした。
経済成長についても、今後は外国人労働力の増加に過度に依存するのではなく、テクノロジーや生産性向上、シンガポール人一人ひとりの能力を最大限に引き出すことで成長を実現する必要があるとの考えを示した。
外国人材は国際ビジネス拠点としての競争力を支える一方、人口構成や雇用、社会統合を巡る国民の関心も高い。今回の演説は、シンガポールの開放性を維持しながら、国民を社会の中心に据えるという政府の人口・外国人政策の方向性を改めて明確にしたものとなった。

