2026年8月17日
シンガポール、若手と中高年PMEの雇用を重点支援 AI時代の失業リスクに対応
シンガポール全国労働組合会議(NTUC)は、AI(人工知能)の普及や企業の事業再編によって労働市場が大きく変化する中、若年層や中高年のPME(専門職・管理職・経営職)など、雇用への影響を受けやすい労働者への支援を強化している。NTUCは、単なる失業対策ではなく、成長分野への転職や技能向上を支援することで「キャリアの安定性」を高める方針である。
特にPMEについては、企業の事業再編などで職を失った場合、次の仕事を見つけるまでに時間がかかる傾向があることから、より体系的な転職支援が必要と指摘している。また若年層についても、AIによる業務自動化などが進む中、学校から職場への移行を円滑にし、将来性のある職種への就職機会を確保することが重要となっている。
NTUCは政府、シンガポール全国雇用者連盟(SNEF)と共同で「Tripartite Jobs Council(TJC)」を設け、PMEや若者、一般労働者など、それぞれの層に応じた職業訓練や転職支援を進めている。AIを活用する企業が増える中、労働者が新しい技術を習得し、成長分野へ移行できる環境を整備する狙いである。
企業内で労使が共同して人材育成を進める「Company Training Committee(CTC)」の取り組みも拡大している。NTUCによると、CTCは2019年の開始以来3,800以上に増え、30万人を超える労働者の研修を支援してきた。企業のデジタル化や業務改革と従業員の技能向上を同時に進めることで、生産性向上と賃金・キャリアの改善につなげることを目指している。
シンガポール政府はAIを経済成長の重要な柱と位置付ける一方、技術革新によって既存の仕事が変化することへの対応も重要課題としている。今後は「仕事を守る」だけでなく、労働者が新たな仕事へ円滑に移行できる仕組みを構築できるかが、AI時代の雇用政策の焦点となりそうである。


