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社会

2025年7月4日

退職資金への備え強まる CPF積立目標達成者が増加

 2024年に55歳を迎えたシンガポール居住者のうち、中央積立基金(CPF)の退職準備要件額(Required Retirement Sum)を満たした人の割合が過去最高となったことが、CPF理事会の年次報告で明らかになった。
 
 報告によると、2024年に55歳となったアクティブ会員数は3万9,000人であり、そのうち約70%が退職準備要件額を達成した。これは、2023年の67.6%から上昇しており、2020年の63.6%からも一貫した増加傾向にあるとされる。CPF残高においてフル・リタイアメント・サム(FRS)を保有しているか、もしくは基本額(BRS)と自宅所有の両方を満たしていることが条件である。
 
 金融アドバイザリー企業Providendのブライアン・チャン氏は、「この増加傾向は退職への意識の高まりを示すもので、非常に前向きな動きだ」と評価。SingCapitalのアルフレッド・チャイCEOも「10年前にはFRSを達成するCPF会員は半数以下だった」と改善の大きさを強調した。
 
 CPF制度は主に退職資金を目的とするが、住宅や医療費にも活用されている。2024年には、特定口座(OA)から住宅用途に25.8億Sドルが引き出され、前年の25.6億Sドルから0.8%増加した。これに対しチャイ氏は、「退職資金を確保する観点からも、CPF資金の住宅使用は抑えるべきだ」と述べ、住宅ローン金利が2.2%と低下している今、資金をOAに留めて2.5%の利息を得る方が長期的に有利であると指摘した。
 
 2024年末時点でCPF会員数は420万人に達し、総残高は6,095億Sドルとなった。会員が得た利息は224億Sドルで、前年の210億Sドルから6.7%増加した。加えて、CPFライフによる生涯年金支給は年齢65〜70歳から開始可能であり、2024年には年金支給総額が44億Sドルに達し、2023年比で29.4%の増加を記録した。

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