2025年7月2日
歩行者専用道での自転車走行に罰則、7月1日よりシンガポール全土で取り締まり開始
シンガポールでは、2025年7月1日より「歩行者専用道」での自転車および非電動のパーソナルモビリティ機器(キックスクーター等)の走行が正式に禁止され、違反者には最大2,000Sドルの罰金または3ヵ月の懲役、あるいはその両方が科される可能性がある。
この取り組みは、2024年8月にシンガポール陸上交通庁(LTA)が発表した方針に基づくもので、特に高齢者や子どもといった弱い立場の歩行者の安全を守ることが目的とされる。歩行者専用道には「pedestrian only(歩行者専用)」の文字が記されており、赤く塗られた自転車道との区別が明確にされている。
対象エリアはトアパヨを皮切りに、タンピネス、プンゴル、センカン、イーシュン、クレメンティなどに広がっており、これまでに200km以上の道が指定された。
LTAによると、自転車や非電動モビリティ機器は今後も「共用道」では使用可能。一方で、歩行補助機器(PMA)は2026年第1四半期までに速度制限が6km/hへと引き下げられる予定である。
7月1日、タンピネスで記者団に対応した運輸担当国務大臣のベー・ヤム・ケン氏 は、「法律に実効性を持たせるには甘すぎる対応はできない」と述べ、違反者には必要に応じてCCTVやボディカメラを活用して厳正に対応すると語った。取り締まりは人通りや交差が多い商業施設周辺に重点的に実施される。
また、LTAのアクティブモビリティ取締官(AMEO)は8月からすでに現場で教育活動を行っており、学校とも連携して子どもたちへの啓発も進めてきた。初日のタンピネスでは、10分間で5人以上の自転車利用者に声がかけられ、いずれも指導に素直に応じた様子だった。
住民からは「より秩序があり、安全になる」と歓迎の声がある一方、配達員の一部からは「罰則が重すぎる」「歩行者には罰則がないのは不公平」との意見もあった。
2019年に303件だった歩道上の事故は、2024年には104件と減少傾向にあるが、LTAは「さらなる安全確保の余地がある」として、今後もスペースのある場所には歩行者専用道を拡充していく方針である。