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経済

2025年7月2日

RTSリンク初の車両公開、システム進捗56%

 シンガポールとマレーシア・ジョホールバルを結ぶ高速鉄道「RTSリンク」の最初の無人運転車両が6月30日、シンガポールで初公開された。全8編成のうちの第1号車で、7月からトゥアスにある約8億Sドル規模の鉄道試験センターで各種走行試験が行われる。
 
 このRTSリンクは2026年末までに旅客運行を開始予定で、両国間の人の流れを大きく変える交通インフラとして注目を集めている。新型車両の披露式には、シンガポールの交通担当代行大臣ジェフリー・シオ氏、マレーシアのローク運輸大臣、ジョホール州のオン州首相らが出席した。
 
 RTSリンクの運営は、シンガポールのSMRTとマレーシアのプラサラナが共同で設立した「RTSオペレーションズ(RTSO)」が担当。現時点で全体のシステム工事進捗率は56%に達し、線路設置や電力供給設備の工事は7月中に完了予定である。
 
 運行開始後は、最高時速80kmで、1時間あたり片道1万人を輸送。運行時間は午前6時から深夜0時まで、ピーク時の運行間隔は3.6分、所要時間はわずか約5分となる。
 
 車両は中国・CRRC製で、全長76.5mの4両編成。最大1,087人が乗車可能で、32席のうち4席は車椅子・ベビーカー・荷物用に折りたたみ式。さらに聴覚障害者向けの磁気誘導ループシステムが初導入され、車内放送が補聴器に直接届く設計となっている。
 
 非常時には、運転制御センターと通話できるボタンや、停止時にのみ作動する非常ハッチも設置。火災・煙探知機や通気用の開閉式窓も完備され、安全性も高い。
 
 初号車は2024年4月にシンガポールに到着済みで、2025年第4四半期までに信号システムやホームドアなどとの連携テストが完了予定。その後、実際の運行ルートであるウッドランズ・ノース駅〜ブキット・チャガー駅間で本格試験を行う。
 
 残る7編成のうち次の4編成はマレーシア・ペラ州バトゥガジャにて組立中。最終車両の納入は12月を予定している。
 
 本計画は当初、シンガポールのトムソン・イーストコースト線と統合する予定だったが、マレーシア側の要望で2019年に一時中断。2020年に費用を抑えた形で再始動し、現在に至る。RTSリンクの完成は、日々30万人以上が通行するコーズウェイの混雑緩和にも大きく貢献すると期待されている。

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