シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポールの5月製造業生産、伸び鈍化も予想を上回る3.9%増

経済

2025年6月27日

シンガポールの5月製造業生産、伸び鈍化も予想を上回る3.9%増

 2025年5月のシンガポール製造業生産は前年同月比3.9%増となり、4月の5.6%増、3月の6.9%増に比べて成長ペースは鈍化したものの、ブルームバーグ調査による市場予想(2.2%)を上回った。経済開発庁(EDB)が6月26日に発表したデータによるものである。
 
 変動の大きいバイオ医薬品関連を除いた場合の成長率は4.9%であった。一方、季節調整後の前月比では全体の製造業生産が0.4%減少し、勢いの減速を示唆している。バイオ医薬品を除くと前月比0.7%の増加となった。
 
 主要な電子機器分野では、前年同月比3.9%の成長と、4月の14.6%増から大幅に鈍化した。中でもコンピュータ周辺機器およびデータストレージの分野は18.7%減、その他電子モジュールおよび部品は20.8%の減少となり、業種内のばらつきが際立った。
 
 一方、バイオ医薬品分野は6.1%増と回復基調にあり、特に医薬品は17.9%増と好調で、生物製剤の増産と製造品目の構成変化が寄与した。医療技術分野も3.2%増加し、医療機器の輸出需要が支えとなった。
 
 精密工学分野では、半導体製造装置や計測機器の生産増加により、全体で10.3%の増加となった。輸送工学分野も25.6%増と好調で、特に航空宇宙分野が43.6%増と大きく伸び、航空機部品の生産増加や航空会社からの整備業務が追い風となった。
 
 化学分野は0.3%の微増で、香料や石油関連製品は増加したが、工業用ガスやバイオ燃料などを含む特殊化学品分野は7.1%の減少となった。
 
 一方で、一般製造業は8.9%の減少と全体の足を引っ張った。食品・飲料・たばこ分野は4.5%減、その他の雑多な製造業分野は16.6%減と低迷した。特に構造用金属製品や紙製容器類の生産が大きく減少した。
 
 全体として、製造業は引き続き成長を維持しているものの、特定分野での減速傾向が明確となっており、今後の経済動向を占う上で注視が必要である。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPシンガポールの5月製造業生産、伸び鈍化も予想を上回る3.9%増