2025年6月24日
シンガポールのコアインフレ率、5月は0.6%に低下
シンガポールの5月のコアインフレ率は前年同月比0.6%となり、4月の0.7%から低下した。これは、3月に記録した4年ぶりの低水準である0.5%から一時上昇した後の反転となる。
6月23日に発表された金融管理局(MAS)と貿易産業省(MTI)の共同報告によると、コアインフレの低下は主に食品インフレの鈍化によるものである。非調理食品の価格上昇ペースが緩やかになったことが背景にある。
コアインフレは、自家用車と住居費を除外しており、一般家庭の生活費をより正確に反映する指標である。5月のコアインフレ率は前月比では変化がなかった。
一方、全体(ヘッドライン)インフレ率も0.8%となり、4月の0.9%からわずかに低下した。これも食品価格と自動車価格の上昇鈍化が寄与している。
その他の項目でも価格の下落傾向が続いた。電気・ガス料金は電気代の大幅な下落によりマイナス3.7%まで低下。小売・その他の物品はマイナス1.0%と下げ幅がやや縮小したが、家電製品の値上がりがパーソナルケア用品の値下がりと相殺された形である。
サービスインフレは1.1%で横ばい。配車サービスや医療保険料の上昇が、海外旅行費用の下落を打ち消した。また、住宅賃料の伸び鈍化と住宅保守費用の上昇が相殺され、住居インフレも1.1%で変化がなかった。
MASとMTIは、2025年のコアおよび全体インフレ率について、平均0.5〜1.5%の予測を据え置いた。ただし、外部環境の不確実性が増しており、インフレに対するリスクは高まっているとの見解を示した。
一方で、輸入インフレは抑制される見通し。原油価格は2024年の平均水準に近く、食品価格の上昇も限定的とみられる。世界的な需要の弱まりがインフレ圧力を相殺するとしている。
国内では名目賃金の伸びが鈍化しつつある一方で、生産性は向上しており、単位労働コストは緩やかに上昇する見通し。また、医療、幼児教育、公共交通などへの政府補助がサービス分野のインフレ抑制に寄与するとみられている。