シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPAllianz買収破談で株主落胆、Income Insuranc...

社会

2025年6月26日

Allianz買収破談で株主落胆、Income Insurance株の現金化望む声相次ぐ

 ドイツの保険大手Allianzによる買収提案の頓挫により、非上場のシンガポール地場保険会社Income Insuranceの少数株主の間で失望の声が広がっている。6月24日に行われた年次総会(AGM)には約600名の株主が集まり、多くが「とにかく現金化したい」と不満を漏らした。
 
 Allianzは2024年7月、1株40.58Sドルで過半数の株式取得を目指す22億Sドルの現金買収案を提示したが、政府がその資本削減案や社会的使命への影響を懸念し、承認せず。同年12月にAllianzは提案を撤回した。現在、Income株は非公開のため市場価値が不明で、株主は買い手を自ら探す必要がある。
 
 AGMでは、配当の減少や将来の出口戦略に対する懸念が相次ぎ、株主らはAllianz案の復活やIPOの検討を求めた。一方で、評価額が名目価格を下回る可能性を危惧する声もあった。2024年の年間配当は普通配当・特別配当ともに前年より減少し、株主の不安を強めている。
 
 同会では、新議長として独立社外取締役のJoy Tan氏が就任し、前議長Ronald Ong氏の退任が拍手で見送られた。Ong氏は、協同組合から企業体への移行の意義を強調し、資本調達の柔軟性と経済的利益の共有が可能になったと述べた。
 
 金融管理庁(MAS)は前日に声明を発表し、Allianz案に関する規制対応を明らかにした。承認されたのはあくまで「5%以上の株式取得に向けた合意形成」であり、買収自体の承認ではなかったと説明した。
 
 Incomeは今後、投資連動型保険や高収益商品への注力、営業体制強化を通じて収益力の改善を図るとしており、全14議案は株主の99%以上の支持で可決された。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOPAllianz買収破談で株主落胆、Income Insuranc...